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私の「1980年代JAZZ名盤」(新宿店)

タグ : タワレコ名盤セレクション

掲載: 2020年06月17日 14:58

ハービー・ハンコックら新主流派によるVSOPが席巻した70年代後半からの流れもあり、マルサリス兄弟の〈新伝承派〉の活躍がクローズアップされた時代、という括り方をされることも多い80年代のジャズ・シーン。でもここでは少し違ったセレクトを。先の論旨に沿う嗜み方が本来正しいはずだけれども、ここで紹介するのは元地方都市在住少年の80年代ジャズ・ライフ!FM雑誌、町のレコード屋、レンタル・レコード店、ラジオのエアチェック、父親のレコード棚、そしてかじり読みのジャズ雑誌からの情報が少々。モダンジャズの名盤と洋楽ヒットチャート、どちらも刺激的だった。新しいスタイルのジャズが決定的なかたちで登場しなくなって久しく、「ジャズは本当に死んだか」なんて題字がまだ誌面に残っていたような頃です。でも80年代、ジャズは結構楽しかったんですよ。

Selected by

新宿店/塩谷邦夫
TOWER VINYLバイヤー

Michel Petrucciani『ミシェル・プレイズ・ペトルチアーニ <限定盤>(SHM-CD)』

フランス最高のジャズ・ピアニストにして、80年代以降に登場したピアニストの中で間違いなく最高峰のひとり。そしてピアニストとしてだけではなく、作曲家としても同時代では追随者が見当たらないほどの存在だったペトルチアーニ。本作は全曲自作曲で仕上げたアルバムであり、彼のピアノ・タッチが共演者を巻き込んで、まさに曲そのものと演奏者との一体化を成し遂げた一枚して記憶にとどめたい。当時のA面①~⑤はゲイリー・ピーコック(b)とロイ・ヘインズ(ds)、B面である⑥~⑨はエディ・ゴメス(b)とアル・フォスター(ds)。どちらも豪華トリオでの競演だ。②で絡むジョン・アバークロンビーのギターがまた、とてもいい。1962年に生まれ、先天性疾患の障害を乗り越えて活躍を続けるも、21世紀を迎えることなく36歳の若さでこの世を去ってしまった天才。


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Michel Camilo『ミシェル・カミロ(RM)』

カリブ海ドミニカ出身のピアニスト、ミシェル・カミロが88年に発表したメジャー・デビュー作。54年生まれということなので遅咲きだったのですね。出自をあらわすラテン・ジャズを基調にした、打楽器のようなリズミカルなプレイ・スタイルは聴く者をあっという間に虜に。“Blue Bossa”“Pra Voce (For Tania Maria)”“Nostalgia”気になる曲名があったらとにかく聴いてみて。その期待は裏切られないです。チック・コリアやキース・ジャレットらとは明らかに異なる雰囲気を醸し出す新しいジャズを感じた1枚。マーク・ジョンソン(b)、デイヴ・ウェックル(ds)、モンゴ・サンタマリア(per)らの参加も新たな名盤誕生に華を添えた。


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Ornette Coleman & Prime Time『ヴァージン・ビューティー(Blu-spec CD2)』

オーネットが率いていたグループ、プライムタイムとの88年作。オーネット・コールマンといえば〈フリージャズの創始者〉的な怖いイメージがバリバリに残っていたあの頃。名盤とされる『ジャズ来るべきもの』も、まだ10代の自分にはなんだかよく分からなかったし。たしかタイトル曲“Virgin Beauty”が平日の午後にFMから流れてきたんだった。こんなにアルトサックスの音色が自由で気持ちよく聴こえたのは初めて。この後、90年代にレア・グルーヴ的な観点から再評価された77年作『ダンシング・イン・ユア・ヘッド』を聴いてまたまた衝撃を受けた。自分の場合、『来るべき』→『ヴァージン』→『ゴールデン・サークルVo.1』→『ダンシング』、大体こういう順番でのオーネット体験だった。とても幸運だったと思う。


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Herbie Hancock『Mr. Hands(RM)』

80年代にはすでに大物の風格が漂い始めたハンコック。初めて聴いたハンコックは多分VSOPの『ニューポートの追憶』か『処女航海』。もちろん親のレコード。自分のお金で初めて聴いたのはレンタルレコード屋で借りた83年の『フューチャー・ショック』、と書くと「さぞかし混乱したろうな」と思う方もおられるかもしれませんが、当時、音楽雑誌を立ち読みして「この人はカメレオン」と既に情報を仕入れていたので大丈夫!さて後追いで聴いたこの『Mr.ハンズ』、1曲ごとにメンバーが異なったりとちょっと6曲入り企画盤的。で、なんかはっきりと新しさが伝わってくるんですよ。ラスト“Textures”で導入されるドラムマシーンの存在だけじゃ説明しきれない、それまでのと違う感じが。そうそう、後になってソロデビュー前のシーラEが参加してることを知ってびっくりした記憶も。


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Sting『ブリング・オン・ザ・ナイト <生産限定盤>(2SHM-CD/LTD/ED/RM/PS)』

83年の『シンクロニシティ』で遂に世界最高のロック・バンドに登り詰めてしまったポリス。その活動休止期間にフロントマンのスティングが発表したのは、オマー・ハキム(ds)、ダリル・ジョーンズ(b)、ケニー・カークランド(key)、そしてブランフォード・マルサリス(sax)という米国の気鋭ジャズ・ミュージシャンを起用した初ソロ作『ブルー・タートルの夢』だった。リリース後におこなったライヴの音源を収録したのがこの2枚組アルバム。メンバーは先の凄腕4人だ。ロックとジャズの融合ではなく、ジャズでロックする様が異常にカッコイイぞ。ポリス時代の曲と『ブルー・タートル』収録曲のバランスも絶妙の加減具合。世界はスティングを中心に廻ってる、とすら当時思ってしまった。


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Sade『ダイヤモンド・ライフ(Blu-spec CD2)』

アフリカはナイジェリア生まれのシャーデー・アデュー。ポール・ウェラーとミック・タルボットによるスタイル・カウンシル、ベン・ワットとトレイシー・ソーンによるエヴリシング・バット・ザ・ガールといった従来のロックにジャズやボサノヴァ、ソウルなどのエッセンスを取り入れた新しいグループを輩出した80年代前半の英国。その真打ちのようなタイミングでシャーデーは我々の前に、それはミステリアスに現れたのでした。その音楽はもちろん純正のジャズではないけれど、どんなジャズよりもジャジーな響きで耳に届いた。少しすると、地方の町のカフェバーや喫茶店でも流れるようになっていった。時代の中に〈JAZZYサウンド〉が浸みわたっていったんです。この後、焼鳥屋でジャズが流れるようになるまで、それほど時間はかからなかった。


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Tuck & Patti『ティアーズ・オブ・ジョイ <期間生産限定スペシャルプライス盤>(LTD)』

ギターのタック・アンドレスとヴォーカルのパティ・キャスカートの夫婦デュオ、出会って10年目のファースト・アルバム。超絶技巧のタックのジャズ・ギターと暖かくもソウルフルなパティの歌声。当時、FMから流れた瞬間に耳を奪われる音楽とはこのことだな、と思った。ウィンダム・ヒルからのリリースということもあり、穏やかで雰囲気のあるまったり音楽みたいな感じで扱われることも多く、そこは大いに不満。二人のジャズ・フィーリングがクールでホットなボブ・ドロウの名作“I've Got Just About Everything”が肝だと思うんですよ。たしかにシンディ・ローパーの好カヴァー“タイム・アフター・タイム”を聴いてると、その安らかさに寛ぎまくってしまうけれども。


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Harry Connick Jr.『Harry Connick, Jr.(EU)』

ジャズ発祥の地ニューオリンズ生まれのピアニスト、ハリー・コニックJrのデビューアルバム。弱冠二十歳。30年代のジャズを想わせるストライド奏法と確かなテクニック。そのスタイルは登場時から、すでに完成されていた。本作のベースはロン・カーター、これ凄いですよね。この後、端正なルックスも相まって人気爆発。サントリーのCMにも出演し、華麗なダンスを披露した(薫り立つのは、誰だ)。甘いヴォーカルがたっぷりと聴ける次作『20』(Dr.ジョンとのデュエットが、それはそれは最高)、メグ・ライアンがいちいちキュート過ぎる映画『恋人たちの予感』(監督はロブ・ライナー!NYカッツ・デリカテッセンってまだあるのかな?)のサントラ盤も強力にお薦めしたい気分です。


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阿川泰子『サングロウ ヤスコ・ラブ・バード <完全生産限定盤>(UHQCD/LTD/RM)』

日本における80年代初頭のジャズ・ブームを牽引した彼女。その美貌と〈シュガー・ボイス〉と称された歌声。TV-CMやトーク番組への出演などで茶の間にまでジャズをクリーンなイメージで浸透させた功績は滅茶苦茶大きい。たしかに今思い返してみて、綺麗なお姉さんが涼しげに歌うその姿に昔の歌謡番組風スタイルのジャズの面影はひとかけらもなかった。90年代に入るとUKのクラブシーンから再評価され、ここに収録されている“Skindo-Le-Le”や“She-Senior Dreams”は一躍クラブDJ達の人気曲に。軽やかに高揚する和製サンバ・ジャズは、もはや日本だけのものではなくなった。バックはアレンジも担当する松岡直也率いるウィシングの面々らによるもの。


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Pat Metheny/Lyle Mays『ウィチタ・フォールズ(SHM-CD)』

80年代の代表作といえば、一般的には前半というと“ついておいで”収録の『オフランプ』(当時の邦題『愛のカフェ・オーレ』)、後半になると“ラスト・トレイン・ホーム”収録の『スティル・ライフ』あたりが定説だと思うんです。でもここで紹介するのは違うんです。81年にリリースした、ライル・メイズとの連名作『ウィチタ・フォールズ』です。初めてリアルタイムで聴いたアルバムが84年の『ファースト・サークル』なので、後追いです。じつはある映画を観てからなんです。その映画とは86年の『ファンダンゴ』。青春の終わりを描いたよくあるロードムーヴィーなんですが、スージー・エイミス扮するデビーがもう可愛くて可愛くて…ではなかった、ラスト近くで流れるメセニーの“It's for You”に感動しすぎて。矢野アッコちゃんのカヴァーも最高な神曲。


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