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秋山和慶 80歳記念特集~日本が誇る世界的名指揮者、斉藤秀雄メソッドの体現者

秋山和慶80歳記念特集

秋山和慶(あきやま かずよし、1941年1月2日 - )氏は2021年1月2日に80歳の誕生日を迎えます。年齢に逆行するかのように活動の幅を拡げ、東京交響楽団、ヴァンクーヴァー交響楽団、九州交響楽団という3つのオケの桂冠指揮者、広島交響楽団の終身名誉指揮者、中部フィルハーモニー交響楽団の芸術監督・首席指揮者、日本センチュリー交響楽団のミュージックアドバイザーを兼務し、同時に後進の指導も行う、現役バリバリの活躍振りです。つい先日も(2020年12月12日)、筆者は秋山氏がNHK交響楽団を客演指揮するのに接し、マーラー編曲による弦楽四重奏曲第11番《セリオーソ》での天衣無縫の名人芸的演奏を堪能したばかりです。

秋山氏の凄いところは、演奏の難しい膨大な楽器編成による作品でも、難なく演奏できてしまうところです。複雑な楽譜であっても、その理解が深いことに加え、指揮法も完璧。言葉の通じない外国のオーケストラでも、指揮棒の動きだけですべてを伝えることができた、というエピソードがあるほどの物凄いテクニックの持ち主です。

そのテクニックは恩師斉藤秀雄(1902~74)から授けられたものでした。14歳のとき桐朋学園オーケストラの演奏会を聴き、感激して楽屋に当時学生の小澤征爾氏を訪ねたところ、いきなり後の師匠の斉藤秀雄に「こいつ指揮やりたいそうです」と紹介され、なすがままに指揮者修業に入りました。

1964年、23歳で指揮者デビューし、翌年には東京交響楽団の音楽監督に就任。指揮者として日本で活動していたところ、1968年にトロント交響楽団の指揮者になっていた小澤征爾氏から招かれ、1年間、トロント交響楽団のアシスタントを務め、海外での活動が始まります。

1972年(31歳)にはカナダ西海岸のヴァンクーヴァー交響楽団の音楽監督となり13年間もその地位にありました。この間にヴァンクーヴァー交響楽団のアンサンブルは飛躍的に向上。退任後もヴァンクーヴァー交響楽団は秋山氏に桂冠指揮者の称号を与えて現在も年に数回指揮をとっています。

以来、日本とカナダを往復するような指揮活動を行っています。東京交響楽団の指揮を優先してベルリン・フィルからの客演依頼を3度断った、というエピソードが物語る通り、地位や名誉を求めない方ですが、実力は間違いなく世界のトップクラスです。レコードやCDの活動も派手ではありませんでしたが、半世紀を超える長い録音キャリアの中で100枚を優に超えるディスクを発表してきました。ここでは現在手に入る代表的CDをご紹介いたします。
(タワーレコード 商品本部 板倉重雄)

東京交響楽団との共演


【参考映像】フェスタ サマーミューザ KAWASAKI 2020 東京交響楽団
指揮:秋山和慶(東京交響楽団 桂冠指揮者)
ベートーヴェン:交響曲 第6番 「田園」、同 第5番 「運命」より

東京交響楽団は1964年に23歳の若さで音楽監督に就任以来、桂冠指揮者としての現在に至るまで、実に半世紀以上の関係を持つオーケストラです。ここでは王道名曲のベートーヴェン:交響曲 第9番 ニ短調 作品125 「合唱付」、秋山氏好みの選曲と言えるマーラー:カンタータ「嘆きの歌」(初稿版)、そして現代日本の作曲家との協力から生まれた「細川俊夫作品集/音宇宙-IX~ハープ協奏曲「回帰」(2001)」「三輪眞弘:弦楽のための、369 B氏へのオマージュ(2006)」をご紹介します。

広島交響楽団との共演


【参考映像】ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番ハ長調作品15
指揮:秋山和慶 ピアノ:マルタ・アルゲリッチ 管弦楽:広島交響楽団
2015「平和の夕べ」コンサート 2015年8月5日ライヴ / 広響チャンネル

秋山氏は1998年に広響の首席指揮者・ミュージックアドバイザーとなり、2004年には音楽監督・常任指揮者に就任、現在は終身名誉指揮者として深い関係を継続しています。1枚目は話題となった2015年のMUSIC FOR PEACE(平和の夕べコンサート)でのアルゲリッチとの共演。協奏曲の指揮の上手さで「オーマンディか、アキヤマか」と言われた秋山氏の練達の合わせが聴き物です。ラフマニノフ: 交響曲第2番とシベリウス:交響曲 第2番は秋山氏お得意のレパートリー。糀場富美子 作品集~広島レクイエムは1985年に初演された近年の名作。ゆかりの広島交響楽団と迫真の演奏を繰り広げます。

九州交響楽団との共演


【参考映像】ブラームス/交響曲 第1番 ハ短調 作品68
2012 年11月22日(木)アクロス福岡シンフォニーホール
指揮:秋山和慶  管弦楽:九州交響楽団

秋山氏は2004年に九州交響楽団のミュージック・アドヴァイザーに就任。その後首席指揮者となり2013年まで務め、その後も桂冠指揮者として関係を続けています。チャイコフスキー:マンフレッド交響曲、マーラー:交響曲 第9番、ワルキューレの騎行 秋山/九響 スーパー・サウンズ、華麗なる序曲・前奏曲集と、何れも秋山氏の指揮が冴える後期ロマン派の大編成作品が録音されています。

オオサカ・シオン・ウインド・オーケストラ (大阪市音楽団)との共演
秋山氏は吹奏楽の指揮でも名高く、とくにオオサカ・シオンには2003年より特別指揮者、芸術顧問として長く携わっています。組曲「展覧会の絵」、ヤナーチェク:シンフォニエッタ、交響詩「ローマの祭り」はフル・オーケストラでも十八番としている作品。「いにしえの時から」には今話題のジョン・ウイリアムズによるスター・ウォーズ三部作の音楽が収録されています。

書籍とDVD
「ところで、きょう指揮したのは? 秋山和慶回想録」は秋山氏の決して順風満帆とは言えなかった、しかし結果的には栄光に満ちた指揮者人生を振り返っています。本のタイトルは氏の理想、指揮者が目立たずにオーケストラが素晴らしい演奏をすることを、言葉にしたもの。その誠実で謙虚な人柄と音楽性が、生来のものに加え、師の斎藤秀雄や、苦難に満ちた東京交響楽団との歩みなど、人生の不思議な巡りあわせによって生まれたことが実感できる、音楽好きならば実に面白く、感慨深く読める一冊だと思います。DVD「秋山和慶のオーケストラ入門 Vol.1 オーケストラの楽器」は、オーケストラを教室の中で理解できる最高の音楽教材。小学生にも親しみやすい曲を十数曲実際に演奏しながら、オーケストラの楽器の仕組みとそれぞれの働きを、丁寧に分かりやすく、そして楽しく解説しています(52分)。DVD「秋山和慶のオーケストラ入門 Vol.2 オーケストラと指揮者」では、オーケストラと指揮者の役割のそれぞれの働きや、実際の演奏会が開かれるまでの舞台裏を丁寧に分かりやすく、名曲を交えながら楽しく解説しています。

カテゴリ : Classical

掲載: 2020年12月25日 18:00