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「都会型ジャズフェスティヴァル」に行こう

今年30歳になる年少の友人は、学生のころから毎年フジロックに出かけているという。雨が降ってどろどろになったりもするけど、自然の中でみんなが音楽を楽しむ、という気持ちよさは何物にも代え難い、と彼は言うのだ。いいなあ。

大学生の我が家の息子は、北海道のライジングサン・ロックフェスに友達数 人と出かけて行った。各駅停車に乗って一日かけて北海道に行き、会場ではテントに泊まるのだという。若いってすばらしいねえ。

そんなにうらやましがるんだったらおまえも行けばいいじゃないかって? う、うんそうなんですけどね。そりゃあジョン・フォガティもロキシー・ミュ ージックも観たかったし、ライジングサンは矢沢永吉も山下達郎もムーンライダーズも出るし、さぞかし楽しいだろうな、とは思うけど、50を過ぎたオジサンとしては、腰を上げる勇気がなかなか出ないというのも事実なのであります。とほほ。

思えば僕が20代、30代だったころ、大物ミュージシャンがてんこ盛りで 出演するジャズ・フェスティバルにも〈地方型〉のものがいくつかあった。70年代初めに三重県の「合歓の郷」で開催されていた『ネム・ジャズイン』には世代的に間に合わなかったけど、新潟の斑尾ジャズフェスティバルや、山中湖畔での『マウントフジ』には何度か出かけて、夏の自然に囲まれてジャズをたっぷり楽しんだものだ。

でも、ことジャズに関して言えば、たとえ野外でのフェスであっても、都会の中で行われる方が、なんとなく音楽のテイストにフィットしているような気もする。

最初は田園調布の田園コロシアム、途中からは稲城市のよみうりランドで開催されていた『ライブ・アンダー・ザ・スカイ』は〈都会型〉というより〈郊外型〉だったんだけど、終わったら電車に乗って家に帰って、翌日はまた電車に乗って(別に車でもいいんだけど)会場に、という気楽さがなかなかよかったのだ。まあわたくしの場合、よみうりランドのすぐ近くに住んでいたので、ほんとに気楽でしたけど。

さてさて、最近のジャズフェスでいちばん規模が大きいものは『東京ジャズ』なんだけど、この催しは〈都会型〉の最たるもの、と言っていいだろう。なんたって会場が東京駅と有楽町駅の間にある東京国際フォーラムなんだから。

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カテゴリ : Exotic Grammar

掲載: 2010年09月02日 18:49

更新: 2010年09月10日 21:26

ソース: intoxicate vol.87 (2010年8月20日発行)

text:村井康司(音楽評論家)

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