こんにちは、ゲスト

ショッピングカート

特集

ノルウェイの森/死刑台のエレベーター

村上春樹のベストセラー小説『ノルウェイの森』が映画化されたが、サントラを手掛けているのがレディオヘッドのメンバー、ジョニー・グリーンウッドだ。残念ながら僕は原作を読んだことがないのでサントラのイメージが掴みにくいが、それでもジョニーの起用は興味深い。これまでジョニーはサントラを2作手掛けていて、なかでも印象的なのがポール・トーマス・アンダーソン監督作『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(07)だった。不協和音に満ちた重厚なオーケストラ・サウンドが映像と見事にリンクしていて、音楽と風景だけでじっくりと見せる映画の冒頭シーンは『2001年宇宙の旅』のオープニングを思い出させたりもした。ポール・トーマス・アンダーソンはジョニーが作曲した交響楽《Popcorn Superhet Receiver》を聴いて感銘を受け、サントラを依頼したそうだが、この楽曲はBBC(イギリス国営放送)の専属作曲家になったジョニーが、クシシュトフ・ペンデレツキの《広島の犠牲者の追悼のための哀歌》にインスパイアされて作り上げたもの。ちなみにジョニーのお気に入りのサントラは、ペンデレツキやリゲティの音楽を使った『シャイニング』だとか。

今回、ジョニーに『ノルウェイの森』のサントラについて話を訊くことができたのだが、ジョニーによると、最初は制作に充分な時間がとれないことを理由にサントラの話は断るつもりだったらしい。しかし、トラン・アン・ユン監督の熱心な誘いに心を動かされて仕事を引き受けた。

「監督とはいろんなことを話し合ったよ。監督が僕の家に来て、初期段階の映画を一緒に観たこともあった。彼はちょっと変わった注文をいろいろ出してきたんだ。例えば食堂で緑の顔が映るシーンを一時停止して『この緑の未完成でためらいがちな表情を表す音楽を書いてもらえる?』って言ったり、そういう監督からの細かなアイデアは曲作りをするうえで良い刺激になったよ。監督からの指示は〈ここで20~30秒の音楽が欲しい〉という細かいものじゃなくて、映画内での状況や人物描写、景色に関するもので、そういう点では、一般的なサントラ制作の過程とは違うものかもしれないね」

次のページへ

カテゴリ : Exotic Grammar

掲載: 2010年10月27日 21:40

更新: 2010年10月27日 22:14

ソース: intoxicate vol.88 (2010年10月10日発行)

text:村尾泰郎

インタビュー