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特集

電気グルーヴ

カテゴリ : スペシャル

掲載: 2011年04月06日 18:01

更新: 2011年04月06日 18:24

文/佐野郷子

 

電気グルーヴ_特集カバー

 

[ artist special ]

日本のテクノ・シーンのアイコンであり、その斬新すぎるPVや衣装(主にピエール瀧の)、アーティスト写真はある意味でヴィジュアル系とも言えるユニット=電気グルーヴが、代表曲を網羅したコレクションCD『電気グルーヴのゴールデンヒッツ~Due To Contract』とDVD「電気グルーヴ ゴールデン クリップス~Stocktaking」を同時リリースした。

そこでbounceでは、この2作品を通じて彼らの20年以上に渡る活動をなんとなく振り返る特集を企画。CD盤のリマスターを担当した砂原良徳のコメントや全曲解説など、盛り沢山の内容でお届けします!!

 

 

駆け足で振り返る電気グルーヴの20数年

 

3月11日の震災から何日目だっただろうか? 石野卓球がTwitterで挙げた〈節電気グルーヴ〉のロゴに思わずプッと吹いてしまったのは。ベスト・アルバム『電気グルーヴのゴールデンヒッツ~Due To Contract』は、ご存じのように地震の影響により発売日が変更。節電と自粛ムードが日ごと高まる折に、灯りと暖房を落とした部屋で聴くという得難い経験をしたのだが、砂原良徳のリマスターにより見事に再生された代表曲は、笑ってしまうほど鮮やかに、力強く響いた! この時節なぞどこ吹く風の堂々たる異彩ぶりこそ、長きに渡って誰にも取って代わられることのなかった彼らの存在意義に違いない。

91年のメジャー・デビュー・アルバム『FLASH PAPA』からすでに20年。その発売時にメンバーのCMJKが脱退するという不測の事態が起きたにも関わらず、当時から注目度は高かった。80年代後半のバンド・ブームが下火になり、新たなマーケットを模索していた邦楽シーンにハウス/ヒップホップ/テクノなどのクラブ・ミュージックに影響を受けた新世代が登場したのもこの時期だ。石野卓球とピエール瀧がパーソナリティーを務めた〈オールナイトニッポン〉が呼び水となり、彼らのおもしろおかしさや鋭いセンスは90年代初頭のサブカル好きを大いに刺激したことも大きい。石野の先導でテクノに開眼したという向きも少なくはないはずだが、その一方で、演歌歌手・瀧勝や子門'zなど、ナゴムの出自がプンプン臭う振れ幅の広いサブ・ワークによってファンを翻弄。

93年の4作目『VITAMIN』からはテクノに特化し、イロモノ路線は減速。ベスト盤にも収録された“N.O.”は初のシングル・ヒットになったが、この頃は彼らが方向性を逡巡していた時期でもあった。とはいえ、同じ年に完成度の高い名曲“虹”を含む5作目『DRAGON』と、企画物の集大成『DRILL KING ANTHOLOGY』をリリースしたことは彼らにしか成し得ない離れ技であり、その特殊なバランスが音楽ファン以外にも幅広い影響を及ぼした。

95年、石野は初のソロ・アルバム『DOVE LOVES DUB』、砂原は『CROSSOVER』を発表し、音楽家としての確固たるポジションを明確にする。海外での活躍も伝えられるようになり、一時は解散の危機もあったと聞くが、ソロや課外活動の充実は97年のシングル“Shangri-La”のビッグ・ヒットとアルバム『A』の好セールスに結実。このメジャー・ブレイクで電気グルーヴの存在はマスに浸透……と同時に屋内レイヴ〈MAYDAY〉への出演やヨーロッパ・ツアーを敢行し、コアな音楽ファンをも納得させる術を身に着けてゆく。

99年には砂原が脱退するも、ライヴ・イヴェント〈WIRE〉をスタートさせ、サポート・メンバーにDJ TASAKAやKAGAMIを迎えた力作『VOXXX』を発表。2001年に一旦活動を休止するが、2004年には再開し、DVD「ニセンヨンサマー ~LIVE & CLIPS~」で、鬼っ子の健在ぶりを見せつける。休止期間中に俳優やタレントとしての力を蓄えたピエール瀧の存在感は、電気の新たなステージを予感させた。

同時代にデビューしたスチャダラパーとのコラボレーションも、共に紆余曲折を経て独自のポジションを築いた彼ららしいトライアルだった。アルバム・タイトルの『電気グルーヴとかスチャダラパー』は、かつてオモシロ枠で一括りにされた彼らの苦笑いを象徴していたが、90年前後の海のものとも山のものともつかない熱気を孕んだシーンから頭角を現し、サヴァイヴした2組の底力を証明。

2008年に8年ぶりのオリジナル・アルバム『J-POP』をリリースした時は、彼らの唯一無ニの個性を改めて痛感させられたが、日本語で歌われ、日本のポップ・ミュージックとして聴かれる以上、電気もJ-Popであることには違いない。そういう意識と覚悟が備わってからの彼らは、さらに強度が増したように思える。2009年には20周年を迎え、先頃〈徹子の部屋〉に登場したピエール瀧に奇妙な親しみを覚えたという向きには、この不世出の才能をいま一度確認してほしい。

彼らの20余年にぼんやり思いを馳せるには、今回のコレクション・アルバムはあまりにも新鮮すぎる。どんな世界になろうとも、電気グルーヴ、世にはばかるべし!

 

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