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カテゴリ : スペシャル

掲載: 2011年12月01日 16:45

更新: 2011年12月01日 16:45

ソース: bounce 338号(2011年11月25日発行)

文/岡村詩野



憂う日本にユーモアの弾丸をぶっ放す!



撃鉄_A



今年もっともセンセーショナルな話題を提供してくれた若手と言えば、西の女王蜂とこの東の撃鉄だろう。いまさら説明するまでもないだろうが、本来、撃鉄というのは拳銃のハンマー部分のこと。銃を構えた時に右利きなら左手親指でカチリとその撃鉄を手前に起こし、右手で引き金を引くという手順で、要するに弾丸を直接叩いて発射させる部分になる——高校のサッカー部時代の仲間同士で結成されたというこの東京出身の4人組は、エネルギッシュでフィジカルの強いパフォーマンスが最大の魅力だが、『撃』に続くこの2枚目の6曲入りミニ・アルバム『鉄』を丁寧に聴いてみると、アタックの強い硬質な音像もまた武器だということに気付かされるだろう。特にシャープなギターの音に顕著だが、うっかり触れると指を切ってしまう尖った金属片のように、ユルさタルさと対極の音作りが彼らの前のめりな演奏に抜群の鋭さを与えているのが印象的だ。そして、天野ジョージの遠くに向かって勢い良く吐き捨てるような、旋律を無視したある種乱暴なヴォーカルは、そうしたエッジーなサウンドを伴った演奏のフラッシュポイント。つまり、切れ味鋭い音を伴った演奏=真っ直ぐに放たれる弾丸、攻撃的な歌=発火点という図式となるわけで、なるほど撃鉄というバンド名にまったく偽りがないということがわかる。

ただ、例えば本作でも“珍曲”“カンチガイ”といったナンバーに見られるように、リリックはどこまでもナンセンス……いや、確信犯的に人を喰ったような内容で実に痛快。パンキッシュだけど決してシリアスになりすぎないのが彼ら流というか、震災以降に苦しむ今年のわが国に、あくまで結果としてちょっと辛口のユーモアをもたらすような存在になっているのがいい。ロック・フェスではすでにお馴染みとなった彼らも、社会にユーモアの弾丸を砲火しているということなのかもしれない。ファイアー!



▼撃鉄の2011年のファースト・ミニ・アルバム『撃』(PERFECT)

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