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ディスクガイド(2)――ロックにこだわらず育まれた新たな感性

カテゴリ : スペシャル

掲載: 2011年12月01日 16:45

更新: 2011年12月01日 16:45

ソース: bounce 338号(2011年11月25日発行)

文/岡村詩野



ロックからの影響だけに縛られない、自由な発想であくまでポップ・ミュージックをクリエイトしているバンド/アーティストがここ1〜2年でまとまった動きを見せるようになっている。例えば、ceroやALFRED BEACH SANDAL、シャムキャッツ、昆虫キッズ、スカート、王舟ら——彼らは皆、ヒップホップや中南米音楽、アフロなど世界中のさまざまな音楽の要素を柔軟に採り入れつつ、あくまでポップスであろうとするフレキシブルな連中だ。音楽オタクがそのままミュージシャンになった、知的な文化系男子の音楽と言ってもいいのかもしれない。



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最初に聴いた時は、和製『Song Cycle』(ヴァン・ダイク・パークス)、新世代版『泰安洋行』(細野晴臣)、後継版『LONG SEASON』(フィッシュマンズ)……という印象。スコット・ジョプリン“The Entertainer”や、童謡“あめふり”といった曲をコラージュ的に引用する手法はヴァン・ダイク・パークスっぽいし、カリプソやニューオーリンズ系の薫りが漂った気品ある演奏は細野の影響下、幻想的な望郷感を醸し出すような音処理はフィッシュマンズ……という感じに。一方で軽いラップを入れたりやダブ処理を施したりといったアプローチも取り込んでしまう彼らがめざしているのは、そうした過去の財産を消化させたうえにある現代のポップスのスタンダードではないかと。つまり、それら先達による〈仕込み〉にいま一度火をかけて煮込み、丁度良い食べ頃の味わいにした、というような。音楽の歴史を受け継ぎつつこれから先をも見据える力——一見ユルく感じられるこの4人組にはそんなエネルギーもある。また、吉祥寺や阿佐ヶ谷など徹底的に三多摩寄りの中央線沿線で録音を行うことにこだわったそんな彼らのアルバムが、SAKEROCKやイルリメなどが所属する人気レーベル、KAKUBARHYTHMからリリースされていることも、シーン拡充を示唆しているだろう。



▼ceroが参加した作品を紹介。

左から、2008年の細野晴臣のトリビュート盤『細野晴臣 STRANGE SONG BOOK -Tribute to Haruomi Hosono 2-』、同年のコンピ『にほんのうた 第二集』(共にcommmons)

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