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特集

ギル・エヴァンス 生誕100年──我がギル・エヴァンス遍歴/瀬川昌久

カテゴリ : BLACK OR WHITE

掲載: 2012年12月06日 12:44

ソース: intoxicate vol.100(2012年10月10日発行号)

文・瀬川昌久


ギル・エヴァンスとの出会いは
クロード・ソーンヒルから

私がギル・エヴァンスの名を始めて知ったのは、昭和23年(1948年)頃、ホットクラブの例会で、野川香文氏が「こんなにもモダンなサウンドのビッグバンドが出現した」とクロード・ソーンヒル楽団の『ラ・パロマ』のV-DISC(番号818-A)レコードをかけて、そのアレンジャーがギル・エヴァンスだと語られた時のことだ。今まで聴いたこともないような柔らかく美しい木管のアンサンブルが次第に音量を増してブラスが加わると、ピアノが力強くメロディを紡いでいく。たまたま日本コロムビアの洋楽の仕事を手伝っていたので、早速カタログを調べてみると、コロムビアにはクロード・ソーンヒル楽団のSPレコードが沢山出ていて、相当人気があるバンドだと判った。『ラ・パロマ』は当時としては数少ない大型12吋のSP(columbia55041)で、1947年に発売されていた。早速ダウン・ビート誌始め英米の資料をむさぼり読んで、ギル・エヴァンスが、ソーンヒル楽団で、傑出したモダン・アレンジを沢山書いて注目されていることが判った。1970年にCBSソニーから発売した『The Red Birth of The Cool』と題するLP(SOPC57104)はソーンヒル楽団のギル・エヴァンス編曲を集大成したアルバムで、ギルの音楽的特色の出発点を知る上に最重要である。特に1946年~1947年の録音のチャーリー・パーカーのパップ・オリジナルの《Anthropology》、《Donna Lee》、《Yardbird Suite》の3曲はパーカーのテーマをホルン・リードのアンサンブルで奏し、リー・コニッツ(as)やバリー・ガルブレイス(g)のソロを配し、又部分的にパーカーのアドリブ・ソロを合奏で再現するなど画期的なアイデアに充ちていた。又《The Troubador》はムソルグスキーの《展覧会の絵》の中の「叙情詩人」のアレンジで、20名の大編成から成り、トランペット3、トロンボーン2にフレンチ・ホルン2とテューバ、サックス5人(全てクラリネットとフルート持ち替え)に3人のピッコロ/フルート奏者を加え、ホルンや木管を多種多様に組み合わせて、現代音楽を思わせるような新鮮多彩なテクスチャーを作り出した。

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