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HELP ME...I BROKE APART MY INSIDES――NINの台頭を受け入れた94年のUSメインストリーム

カテゴリ : ピープルツリー

掲載: 2013年09月04日 18:00

更新: 2013年09月04日 18:00

ソース: bounce 358号(2013年8月25日発行)

文/轟ひろみ



94年のUSシーンを振り返れば……記録的な面ではボーイズIIメンの『II』や「ライオン・キング」のサントラがモンスター級のヒットを飛ばしたことを思い出す人も多いだろう。が、ビースティ・ボーイズが時代のヒーローとして頂点に返り咲いたこの年は、早くも王道のバンドになったパール・ジャムをはじめ、サウンドガーデンやアリス・イン・チェインズ、ストーン・テンプル・パイロッツらが次々に全米No.1を獲得して、90年代初頭からの〈オルタナ〉な流れが完全にメインストリームに定着したことが証明された年だったともいえる(フー・ファイターズの結成も同年)。つまり、ベックのようなローファイやNINのようなインダストリアル勢の脱ロック的な動きが、主流化した〈オルタナ〉よりさらにオルタナティヴな異物として脚光を浴びやすくなった、と捉えることもできるわけだ。

別方向から見ると、オルタナ勢による内省の激情を発する手法に端を発し、より振り切れた表現がポップなものとして歓迎されたのも94年的かもしれない。NINがジョイ・ディヴィジョンを取り上げた『The Crow』(急逝したブランドン・リーのメイクはトレント似?)、トレント監修の『Natural Born Killers』、ドクター・ドレーが異様にエクストリームな“Natural Born Killaz”を披露した『Murder Was The Case』といったサントラ群の、露悪的で陰惨な表現が世間に愛されたのも象徴的だ(クリーヴランドからボーン・サグズン・ハーモニーが現れたのも94年)。だからして、後にNINの“Hurt”を歌うジョニー・キャッシュが静かな闇を孕んだ〈American Recordings〉を始めたのも……。



▼関連盤を紹介。
左から、ビースティ・ボーイズ『Ill Communication』(Grand Royal/Capitol)、サウンドガーデン『Superunknown』(A&M)、パール・ジャム『Vitalogy』(Epic)、ベック『Mellow Gold』(DGC)、サントラ『The Crow』(Atlantic)、サントラ『Natural Born Killers』(Nothing/Interscope)、サントラ『Murder Was The Case』(Death Row)、ジョニー・キャッシュ『American Recordings』(American)。すべて94年リリース!

 

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