R&B――(2)
THE-DREAM 『IV Play』 Radio Killa/Def Jam
一時期に比べて裏方仕事は減ったが、数々のビッグネームをゲスト招聘できる人脈力も含め、この男がシーンの中心にいることを証明した力作。アンビエントなサウンドに90s R&B回帰気分を織り込み、ナイーヴなファルセットで愛を歌った内容はどこまでも艶美だ。*林
CHRISETTE MICHELE 『Better』 Motown
実験的だった前作から一転して原点回帰的な内容になった4作目は、彼女の最高傑作と言いたい内容になっていた。オージェイズ使いの先行曲をはじめ、純度の高い歌を引き出す衒いのない作りも功を奏した、当年屈指の現行ソウル・ミュージックだ。*池谷
K. MICHELLE 『Rebellious Soul』 Atlantic
不遇時代の憂さを晴らすようにありったけのエモーションを込めてガムシャラな歌を聴かせたメンフィス出身の歌姫による処女作は、まさしく反逆のソウル。キーシャ・コールの座を狙う最右翼、か。ポップ&オーク制作の“V.S.O.P.”は2013年屈指のR&B名曲だ。*林
JOHN LEGEND 『Love In The Future』 G.O.O.D./Columbia
ソウルへの愛着を示しつつ、前作から顕著になってきたトレンドセッターとしての色気も打ち出した意欲作。インディー・ロック的な退廃美も感じさせるサウンドやコーラスには、ブライアン・ウィルソンに捧げるライヴで〈駄目な僕〉を歌った彼らしいセンスが滲む。*林
TGT 『Three Kings』 Atlantic
結成から6年、至高の男性ヴォーカル・トリオがついにアルバム・リリース。露骨なセックス讃歌をマッチョに歌うことで生まれるロマンティシズムは、インディーやら何やらといった新しい冠がR&B周辺において増え続けたなかで、王道として雄々しく屹立していた。*池谷
ROBERT GLASPER EXPERIMENT 『Black Radio 2』 Blue Note
グラスパーにとって〈アイドル〉だというブランディとフェイス・エヴァンスや、〈ヒーロー〉というスヌープ・ドッグなど、さらに黒いゲストを迎えたラジオの第2部。ジャズのヴァイブを細部に宿した美しいアーバン・グルーヴは不変。*池谷
JANELLE MONAE 『Electric Lady』 Bad Boy/Atlantic
アフロな感覚を軸に、ロックンロール、サンバ、オペラなどをドラマティックに組み合わせ、志を同じくするゲストを招きながら自由に泳ぎ回ったカラフルで独創的な傑作。懐かしいフレーズを引用しつつ遥か未来を目指すような、軽やかに時空を超えた一枚だ。*林