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ウィークエンドやジェネイ・アイコのような、目を見張るほどのアトモスフェリックなパノラマは結局のところ特例だったのでしょうか? 昨今では単純に淡く儚いヴォーカルとダウンテンポの組み合わせだけで〈R&B〉と乱暴に形容されることも多くなってきたので、聴いてみてがっかりしないような言葉はそろそろ誰かが作ってほしいです。とはいえ、新年はサンファのようなヴァーサタイルな存在がさらに大きくなるはず。ジャスティン・ビーバーが新曲でアンビエントR&B風の音をやっていることを思うと、サウンド自体がもっと多方面に浸透していく可能性も十分ですね。*轟



INC. 『No World』 4AD

良作が続いたインディーR&B勢のなかでも、サウンドの緻密さや繊細では飛び抜けていたのが彼ら。その歌や音には〈漂白〉という言葉さえ似合うが、プリンスやディアンジェロの影響を感じる瞬間(モロに“Brown Sugar”なメロもあったり)も多く、旧来のR&Bリスナーにこそ推薦したい部分もあった。*池谷

 

VONDELPARK 『Seabed』 R&S

ハウ・トゥ・ドレス・ウェルやフランク・オーシャン、チェット・フェイカーらと同様の、エロいアブストラクト・サウンドとインディー・ポップとの出会い。輪郭がおぼろに霞む、しかし確かにポップで美しいメロディーが甘く響くモダン・ベッドルーム・ミュージック。*島田

 

MOUNT KIMBIE 『Cold Spring Fault Less Youth』 Warp

ジェイムズ・ブレイクと同様に、その盟友でもある彼らもまた一歩進んだ。ワープに移籍し、ポスト・ダブステップの象徴的に扱われた初作から飛躍したサウンドで、予測できない展開にヴォーカルも多く採り入れ、革新していく過程を見せつけた。*池田

 

RHYE 『Woman』 Innovative Leisure/Polydor

タワレコの年間セールス・チャートでは〈SOUL/R&B〉部門6位という予想外のヒット。コアなインディー界隈からシャーデー風味を好むライトなリスナーまで広く訴求した内容によるのだろう。本作以外でも目立ったメンバー個々の活躍については別掲のコラムにて。*池谷

 

SAMPHA 『Dual EP』 Young Turks

リル・シルヴァやSBTRKTとの絡みで名を売った彼は、ジェシー・ウェアに続くドレイクとのコラボで一躍2013年の重要人物に。BBCの〈Sound Of 2014〉にもノミネートされて、新年のブレイクは間違いないでしょう……と思う一方、ショート・ストーリーズがどうなるのかは少し心配。*轟

 

DENITIA AND SENE. 『His And Hers』 Snow Dog

ありがちな男女コンビではなく、ネオ・ソウル的なヴァイブや淀みが充満したベッドルームで録られたような雰囲気のルーム&B。というか、タグ遊びじゃなく普通にR&Bリスナーに推薦です。ちなみに男性のほうが日本でもリリースしていたセンというのに驚き! *出嶌

 

JESSY LANZA 『Pull My Hair Back』 Hyperdub

ローレル・ヘイローやステラ・オム・ソースらシンセ浮女子がテクノ/ハウスを用いてマシーン・ファンク女子に変身したのが2013年のトピックだ。本作もまたキュートなゆるふわウィスパー・ヴォイスとベース・サウンドが融合した、踊れるエーテルR&Bに。*島田

カテゴリ : スペシャル

掲載: 2014年01月08日 18:01

更新: 2014年01月08日 18:01

ソース: bounce 362号(2013年12月25日発行)

文・ディスクガイド/池谷昌之、轟ひろみ、島田 賛、出嶌孝次、

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