J-CLUB MUSIC
電気グルーヴやTOWA TEIなどのヴェテランが、広いリスナー層に目配せしながら自身の色を打ち出したアルバムを送り出すという展開は盤石だし、Serphやno.9をはじめエレクトロニカ系は変わらずコンスタントに良作が登場していた印象。しかし、日本のクラブ・ミュージック全体で言うと、フィジカルでのリリースが格段に減ってやしないか……? そんな状況でも、自身も作品を残したShinji Tokida主宰のFOUNTAIN(Plaza In Crowd)やSeihoによるDay Tripperあたりが、積極的に新しいアーティストを発掘し、アルバムへ繋げていたのは頼もしい限り。 *加藤
YOSHITO TANAKA 『THE 12-YEAR EXPERIMENT』 TOWER RECORDS
プロデューサー/ギタリストとして、J-Pop界で数々の仕事をこなす彼の初リーダー作。ジャズやネオ・ソウル、ブギーといったサウンドをクールに調理し、奇しくもダフトパンクのモードと絶妙にシンクロしてしまうという逸品だ。こりゃ参ったね。*加藤
電気グルーヴ 『人間と動物』 キューン
3年半ぶりのフル・アルバムは全編が歌もので構成され、ポップでエレクトロニックでダンサブルという電気を電気たらしめる要素のみにフォーカスした一枚だ。血肉としてきたアシッド・ハウスやエレポップに根差したサウンドからは、ある種の成熟と凄みが感じられた。*澤田
m-flo 『NEVEN』 rhythm zone
ASOBISYSTEMと交わって原宿との縁も強化し、オシャレ裾野を広げる2人。ゲストを明かさないという方針は賛否両論ながら、キレキレのダンス・サウンドをあくまでポップに落とし込む手捌きはやはり流石でした。「銀河鉄道999」なスキットを交え、作品を通して聴かせる仕掛けもしれっと。*加藤
Serph 『el esperanka』 noble
細かな音の断片で幻想世界を組み上げる電子音楽界の若手代表は、自身のこの最新作に加え、同作にも参加していたヴォーカリストとのユニット=N-qiaでも初作を発表。さらに後藤まりこ作品など外仕事も好調だった。ヴィジュアルは長年非公開だったが、年明けにはついに初ライヴを開催! *土田
TOWA TEI 『LUCKY』 ワーナー
シーンの潮流とは無縁とばかりに、揺るぎない作家性を深化させた7作目。エレポップにエキゾにボッサといった要素を彼ならではのセンスで混ぜ込みながら、クラブ・ミュージックの重力から解き放たれたかのような解放感たっぷりでヌケの良いサウンドを展開した。*澤田
SONPUB MOTHER 『SHIP』 Cabron
いわゆるEDMやトラップといった文脈から派生して、さまざまな形のフレッシュネスが誕生した2013年。元来そういった雑食性を示していた彼も5年ぶりの本作で痛快なビート絵巻を開陳。SIMONやSKY-HI、ホリエアツシらを交えてエモい歌モノから豪腕ブレイクスまで披露した。*北野
BROKEN HAZE 『Vital Error』 Raid System
ワールドワイドなベース・ミュージックの潮流のなかで、ここ数年際立った存在感を発揮しているBROKEN HAZEだが、待望のアルバムではいきなり次のモードを提示。フューチャリスティックなサウンドにとことん叙情的なメロディーを付与し、独自の世界観を構築した。*澤田
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