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特集

J-ROCK――(1)



目に見えて何かが……というトピックスはないっちゃない。しかし、ここで選んだ面々を眺めると、いわゆる〈シーン〉的なものがないからこそ、個性の際立った面々がいっそう目立っていたように思う。なかでもデビュー間もなくブレイクを果たしたギター・ロック新世代の筆頭・KANA-BOONや、にわかに現場を賑わせているゲスの極み乙女。といった活きの良い若手の台頭が目覚ましい。さらに、長い沈黙を経て作品を発表したdownyのようなヴェテランが、彼らを知らない世代も巻き込んで注目を集めたのも、喜ばしくもユニークな現象だった。*加藤



きのこ帝国 『eureka』 DAIZAWA

フォーキーな美しいメロディーとサイケデリックなサウンドを武器にする新鋭は、ライヴ感溢れる生々しい演奏を閉じ込めた本作で、現在のギター・ロック・シーンで存在感を光らせた。初ワンマン公演を経て、12月にはミニ作『ロンググッドバイ』を発表するなど、精力的な1年を過ごした。*金子

 

OKAMOTO'S 『OKAMOTO'S』 ARIOLA JAPAN

ロックンロール・バンドが一時の勢いを失うなか、音楽好きがニヤつく要素を散りばめた多彩な本作でトップランナーの意地を示した彼ら。山P曲への参加なども併せてさらに名を広め、ハマ・オカモトはももクロやRIP SLYMEらの作品に招聘されるなど引く手数多だった。*金子

 

UNISON SQUARE GARDEN 『CIDER ROAD』 トイズファクトリー

アグレッシヴ&アクロバティックなロック・サウンドをブライトに響かせるという自身のポップ哲学を貫く3人組。丸ごとプロデュースした「夜桜四重奏」のキャラソン集をはじめ、田淵智也はアニメ音楽での良い仕事ぶりも印象的な1年だった。*土田

 

Plastic Tree 『インク』 FlyingStar

日本武道館公演をはじめとするライヴに、制作にと明け暮れたメジャー・デビュー15周年イヤーを締め括った最新作では、自身のダークウェイヴ感を着実にアップデートしつつ、初作も全曲〈Rebuild〉して原点の見直しも。そして、この冬には結成20周年目に突入! *土田

 

BO NINGEN 『Line The Wall』 Stolen/ソニー

邦楽……というと若干語弊もあるが、圧倒的に深みを増した独自のサイケ観を打ち出す2作目の日本盤はメジャーから発表。拠点はUKながら日本での地盤も固めつつあり、欧州でのツアーと並行して〈フジロック〉などへの出演を含む来日公演も数度行って存在感を示した。*加藤

 

サカナクション 『sakanaction』 ビクター

AOKI takamasaと共作したテック・ハウスで始まる本作で初のオリコン1位を記録。後のツアーでは228本のスピーカーを配してサラウンド効果を演出した幕張メッセ公演を成功させ、地道にクォリティーを追求することで数字的な結果も引き寄せた。その締め括りが〈紅白〉への出演とは! *土田

 

パスピエ 『演出家出演』 unBORDE

アイドルもボカロもロックも地続きのいま、時代の寵児と言うべき存在が彼らだ。泉まくらとタッグを組んで話題となった“最終電車”のリミックス、そして不思議さがクセになるシンセ・ポップを搭載した本作で、〈ポスト相対性理論〉というタグも今は昔なサウンドの独自性を確立した。*金子

 

Nothing's Carved In Stone 『REVOLT』 エピック

各々のミュージシャンシップが生んだ、メンバー間の衝突と葛藤。そのドキュメントを音像化した最新作ではメンバー全員が好むナイン・インチ・ネイルズを意識したテイストも採り入れており、図らずもトレンドであるインダストリアルとリンクする作品に。*土田

カテゴリ : スペシャル

掲載: 2014年01月15日 18:00

更新: 2014年01月15日 18:00

ソース: bounce 362号(2013年12月25日発行)

文・ディスクガイド/加藤直子、金子厚武、土田真弓

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