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大滝詠一 Before a long vacation 〜Tribute to Eiichi Ohtaki

カテゴリ : Exotic Grammar

掲載: 2014年02月20日 10:00

ソース: intoxicate vol.108(2014年2月20日発行号)

text : 渡辺亨



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図書館が消えた。ポップスだけでなく音楽全般、芸能、日本映画、お笑い、野球、相撲、オーディオ&ヴィジュアル機器などの、まさしく知識の宝庫であり、世界に類を見ない図書館が、昨年の末に忽然と消えた。単に一人のミュージシャンがこの世を去ったというのではなく、本当に価値ある稀少な図書館のような存在が消えてしまったという思いを抱く。この図書館の名称は、「大瀧詠一」。「大瀧詠一」と共に大滝詠一、多羅尾伴内、笛吹銅次、厚家羅漢………これらすべてが消えてしまった。ただし、莫大なアーカイヴを残して。

音楽活動だけに限っても、大滝詠一は日本語のロックを切り開いたミュージシャン(シンガー・ソングライター)の一人であるばかりか、レーベルの主宰者であり、プロデューサーであり、エンジニアであり、アレンジャーであり、ソングライターでもあった。日本では数少ない伝説的かつ現役のラジオDJでもあったし、音楽評論や芸能史研究の分野でも大きな足跡を残した。再発/復刻盤の監修者や解説者としての仕事も、大滝詠一にとって重要な音楽活動だった。そしてこれらすべての音楽活動は、さまざまな人間に多大な影響を与えた。プロのミュージシャンはもちろんだが、それ以外の音楽関係者に大滝詠一ほど大きな影響を与えた人物は他にいないだろう。現に音楽や芸能、放送、CM、出版などの仕事に携わる人間の中には、赤塚不二夫とタモリの関係と同じように、大滝詠一の「作品」と呼んでもさしつかえない人間が少なからずいる。もちろん、一般の音楽愛好家の中にも。彼らは大滝詠一の「作品」=「ナイアガラー」である。



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