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ジャズ・シーン注目のサックス奏者エリ・ディジブリの新作

 

 ハービー・ハンコックら大物アーティストと共演するなど、イスラエルから世界に羽ばたいた才能、エリ・ディジブリ。
 イスラエル人のアイデンティティと美しくダイナミックなジャズの美学が見事に融合した演奏を見せる6作目のリーダー作品!ピアノはチック・コリアの目を引いた若きガディ・ラヴァディ!

 1978年イスラエル生まれ。群雄割拠という言葉も思い起こさせる程に、才能を開花させるイスラエル出身のミュージシャンたちですが、アヴィシャイ・コーエン(b)、オマー・アヴィタルらより一世代若く第二世代と呼ばれる中で、ジャズ・シーンから注目を浴びるエリ・ディジブリ。
 その活躍ぶりは、第一線のミュージシャンとの共演が何と言っても物語ります。1999年から2002年には、ハービー・ハンコック・セクステットの一員として活躍。2002年から11年は、アル・フォスターのバンド・メンバーとして活動。この2つのバンドに、カート・ローゼンウィンケルやアーロン・ゴールドバーグらをバックに迎えたリーダー作を加えれば、エリ・ディジブリというアーティストの注目度がわかります。

 そんなエリは、前作ではブラッド・メルドー、ロン・カーター、アル・フォスターを迎えたメンバーでリーダー作を発表。注目を集めましたが、本作はグッと身近な若いメンバーで勝負に!
 同世代のBarak Mori(b)がガッチリとバンドを支えるのはもちろんのことながら、ドラムには18歳のOfri Nehemya。そして注目は録音時16歳のピアニスト、ガディ・ラヴァディ(Gadi Lehavi)。チック・コリアが強力にバックアップし、目をかけるのが、この若きラヴァディ。先だっては〈ジャズ・アット・リンカーン・センター〉でのチック・コリア&フレンズのイベントにも出演し、目の肥えたNYの観客の前で堂々と演奏したことでも大注目を浴びたことで知られます。

 そんなメンツでのカルテットの演奏は「イスラエル出身者としてのアイデンティティと、美しく、かつダイナミックなジャズの美学が見事に融合した演奏」。スタイリッシュなアレンジのオープニングでサラッと耳を引付けたあとは、思い切りルーツに根ざしたイスラエル・メロディ。ユダヤ的な音階によるテーマ・メロディを核としつつ、その節回しが、バッキング、ソロのそこかしこから踊り舞う展開と、コンテンポラリーなジャズが渾然一体となったのが2曲目。そして、続く演奏には、幼少の時よりクラシックを勉強した神童ピアニストとエリのサックスの美しきバラード・デュオが。この繊細なピアノと、懐の深さも湛えたエリの演奏も絶品なら、4ビートを基調に4人が豪快な演奏を見せる次のトラックあり(このモード・ピアノを聴くとチックの目さえも引いた才能を感じます)…。前半部だけをとっても、このグループの表現の広さに感心してやみません。

 イスラエル人としてのアイデンティティを持ちつつ、ジャズの美学を俄然深めた味わい深い作品。エリ・ディジブリ、現在35歳。この表現力と存在感、注目です!

カテゴリ : 予約

掲載: 2013年07月28日 17:03

更新: 2013年08月13日 13:24