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ギャズ・メイオール、タワレコ独占インタビュー

ギャズ・メイオール

ロンドンのスカ番長、ギャズ・メイオール率いるザ・トロージャンズの日本独占ニュー・アルバム「SMASH IT!」が遂にリリース!約9年振りとなったアルバム・リリースを記念して、ギャズ・メイオールの貴重な最新インタビューをタワーレコード独占公開!!

Interview by 中上雅夫(タワーレコード)

Q. 長い間スタジオ・アルバムを出していませんでしたね?その間なにをされていたのでしょうか?

A. たしかに数年の間スタジオ・アルバムをリリースしていなかったね。主な理由としては、生涯の友人であり、僕がプロデュースをするようになってから作品のほとんどを手がけたエンジニアでもあるダミアン・コーナーが長い間病気を患った末に亡くなってしまったんだ。いつか治ってくれるだろうと希望を持っていたんだけど、、、だから、僕のスタイルや方法を理解してくれる人を探すのに時間が掛かったんだよ。重要なのは正しいスタジオ、そして地元で作業できること。面白い人で現在の技術と旧い技術、両方できる人。

ニック・マナッセーは30年くらい前から知ってて、ちょうどノッティング・ヒルにある僕の兄弟のオフィスに引っ越してきてそこにスタジオを作ったんだ。前にカーニバルで一緒に仕事したりしてたんだけど、彼はロンドンのルーツ・レゲエ・シーンではビッグな存在で、そこからロックステディ、スカのシーンに分岐してきたんだ。そこはスマッシュのロンドン・オフィスの一部なんだけど、すごく快適で、トロージャンズは時折リハーサルしているよ。

今回のレコーディングは、この新しいスタジオでのニックの初仕事で、すべてが見渡せたし、正しいものができたと思う。正しい場所、正しい時間で正しいことをする、という僕の哲学にピッタリだったよ。

Q. トロージャンズは、スカにケルト音楽、R&B、カリプソなど様々なものをミックスしてきましたが、今回のアルバムのポイントは?

A. 僕はいつでも自分の好きな音楽を組み合わせることを試しているんだ。ゾエがやったフィリス・ディロンの再構成のようなピュアなロック・ステディはシンプルでストレートな仕事のベスト。僕はすべてのジャンルで独創的であろうと自分を励ますんだ。アルバムにも入っているカリプソ曲“Film Flam Man”は彼がロンドンで腕時計を奪われたときの歌で、実話を元にしているんだ。

トロージャンズが始まった80年代にさかのぼって考えると、君がケルティック・スカ、レゲエというように、僕はトラディショナルなアイリッシュ・ミュージックを愛してきたんだった。僕が子供だったときに、ウチにはアイルランド人の下宿人がいたんだ。彼は1967年にダブリナーズを観に連れていってくれた。彼らが“Seven Drunken Nights”でヒット・パレードのトップにいた頃の話。それよりも前だけど、8歳か9歳のころ、親友のおじいさんの農場がアイルランドのスリゴにあって、そこに1ヶ月くらい滞在したときに音楽にハマってしまったんだよね。そんなこんなで初めて買ったLPがダブリナーズの“More of The Hard Stuff”だったんだ。ジャマイカン・ミュージックは歴史的というよりも音楽的にアイリッシュ・ミュージックと共通点があって、両者がうまく結婚できるんじゃいなかな?といつも考えていたんだ。

“Smash It!”は振り幅と僕らのルーツ、ヴァイブスを持った典型的なトロージャンズのアルバムだといえるね。

Q. フィリス・ディロンの“Perfidia”をカヴァーしてますよね。この曲を選んだ理由は?

A. “Perfidia”は何年にもわたってライブでやってきた曲なんだ。最近でもゾエはブルームーンでこの曲と、僕らのオリジナルの“Swine It”をやったよ。今年の初めあたりに、ゾエをフィーチャーしたフィリス・ディロンの曲たちからさらにロックステディを学ぶことができるようなバンドを得たわけで、それは彼女がソロ・キャリアを始める準備段階でもあったんだよね。

新しい曲たちをレコーディングする間、何曲かでバック・ヴォーカルをやってもらったり、ライブでやることによって曲をあたためていったんだ。この曲は以前にもいろんな人にカヴァーされているんだけど、ヴィン・ゴードンはホーンを加え、さらにハーモニカを入れることを提案してくれた。とても奇妙だったのはそのハープを吹いたのが、アラバマ3のニック・レイノルズで、7年間もゾエのボーイフレンドだったということを彼が知らずに推薦したってことなんだよね。ニックをゲストで呼んだとき、彼が話してくれたんだけど、彼が最初に彼女に会ったのは、グラストンベリー・フェスティヴァルで僕達がこの曲をやったときだったんだって。

Q. 現在のメンバーを教えてください。このメンバーはパーマネントなツアー・メンバーですか?あと、ゲスト・ミュージシャンとシンガーについても教えてください。

A. ツアーのラインナップは仕事や時間によって変化するんだ。少ないときで6人でやるということで知られているけど、トニーがいないときはサウンド・クルーがパーカッションをやったり、メグミの娘のメガちゃんとその仲間のロッキン・グルーヴスのようにだれかの娘がコーラスをやったり、テナー・マンのコリンの娘、ブルウがムーン・リヴァーを歌ったりね。いつものツアーのメンバーは9人くらい。でも、10月のツアーはジャマイカのブラス・ヒーロー、タン・タンとヴィン・ゴードンを含めた14人のフル・スロットルでいくよ。彼らは何度もトロージャンズとプレイしたことがあるんだ。

Q. あなたはよく環境問題をテーマにした曲を歌ってますよね。例えば“Acid Rain”とか。

A. 僕はいつでも必然的に環境に配慮した歌詞でいくつかの曲をつくるんだ。ファースト・アルバムの“Ala- Ska”で“When The War Comes”という核戦争についての曲を作った。その次のLP“Spirit of Adventure”には“Acid Rain”を入れた。このアルバムのオープニング・トラック“Elephant Killers”は象が絶滅する前に象牙の流通という恥ずべきことを止めるべきだ、ということを歌った曲。僕は思うんだけど、チェルノブイリと最近の日本の災害をきっかけに誰かが原子力発電についての曲をつくるべきだね。たぶんそれをやるのは僕になりそうなんだけど、、、まあでも今は“Smash It!”だね。

社会学的な世界の問題について言うなら、女性蔑視の結果としての名誉殺人(honour killings)があって、女性平等を信じない人のために“Misogyny ( Let The Ladies Dance) ”という曲を作った。そして “Pussy Riot (Girl Power)”はロシアのパンク・ロック・バンドがプーチンによって投獄されたことについて話している曲。“Witchcraft-I Blame The Parents”は子供の虐待、拷問についてのタイトル。魔術による子供への虐待や殺人への非難なんだ。これらの出来事は、ぜんぜん過去のことではなく、実は比較的新しい、今の時代のことなんだよ。海外旅行や世界中のコミュニケーションは現代社会と衝突する古くからの伝統と、容認することのできない非倫理的な慣習を新たに知らしめたんだ。

Q. ロンドンのスカ・シーンはどんな感じですか?なにか新しいものは?80年代や90年代との違いは?

A. ロンドンのスカ・シーンは常に世界のスカ・ジャンルの足掛かりになっているといえるね。ここで生まれたわけではないんだけど、ここUKの首都で根をはって以来栄えてきたわけだよね。近年ではロンドン・インターナショナル・スカ・フェスティヴァルっていうのもあって、新旧のバンドが出た。マッドネス、スペシャルズなんかは今でも強力で、どこで演っても1,000人を超える人を集めるよね。

最近のロンドン界隈でのお気に入りのスカ / ロックステディ・バンドはデレゲイターズ、ゴールドマスター・オールスターズ とイミグランツかな。地方ではナンバー・ワン・ステーションかな。彼らは僕のクラブで毎回良いライブを演っているすごく楽しいバンドだよ。サウス・ロンドンの若いバンド、チェインソー・ブラッシカも要チェック。彼らは今年の夏のグラストンベリーでの僕のステージを揺るがした。ポーツマスのラケッティアーズ、サウス・デヴォンのシマーストーンズも熱いぜ!

80年代や90年代とちょっと変わってきた点としては、多くのバンドがヒップ・ホップやラップの要素をスカに取り入れるようになったってことかな。僕もたまにラッパーを使うし、今でもそう。この“Smash It!”ではそれを意識しなかったんだ。僕たちはこのアルバムで自分たちのルーツに戻りたかった。僕はいつでもリミックスや別ヴァージョンを作ることはできるよ。

Q. あなたのGAZ’S ROCKIN’レーベルは活動停止しているように見えるのですが、いまはどんな感じなんですか?

A. レーベルとしては比較的静かだといえるね。ライタ・シークレットの“Elinor All Night Long”の7インチ(2011年)を出してからはやや休眠状態だね。去年“Celtic Ska”を再発したのと、ここ数年で全部のカタログをiTunesに上げたよ。このあと、このアルバムから何枚かのシングルと、おそらく12インチを出すよ。次は?上に上げた中のどれかだね。初期のトロージャンズは年に1枚くらいアルバムを出してたけど、たぶん今、ニックとともにYardスタジオでプロデューサーの椅子に座ってアウトプットを増大させるよ。たしかに、意図しないで止まっていたかもね。

Q. 僕は、あなたが80年代に作っていたミックス・テープのシリーズがすごく好きだったんだけど、ミックス・テープやミックスCDを出す予定はありますか?

A. いろんな人がいまだに僕のミックス・テープに興味を持ってくれているんだけど、僕は101ものミックスを作り続けているよ。いまはオーダー・メイドだけどね。いまはテープでは作ってなくて、テープはコレクターズ・アイテムになっているよ。CDはリマスターしてあるし、東京ではダブストア、もしくは僕への直接オーダーで買えるよ

タグ : インタヴュー

掲載: 2013年08月28日 16:52