こんにちは、ゲスト

ショッピングカート

注目アイテム詳細

COMPUMA初のソロ作品が、竹久圏をフィーチャーしてリリース

COMPUMA

今作は、京都の老舗茶問屋、宇治香園の創業150年を記念して制作されたもので、COMPUMAが、KIRIHITO、GROUP等の活動で知られるギタリストである盟友 竹久圏と共に、京都府南部の山間の茶園でのフィールド・ レコーディングやギター演奏を中心に、エレクトロニクス、加工編集ミックスを施して完成させた、イマジナリーでランドスケープな、茶と茶園たちに捧げられた音のドラマ。

今作のアートワークは、近年、国際的な評価も高まっている画家・五木田智央による書き下ろしと、写真家・塩田正幸、デザイナー・鈴木聖によるもので、茶と音と光の出会いによる記録ともなっている。

 

竹久圏

 

 

「SOMETHING IN THE AIR」に寄せて

はじめまして。株式会社宇治香園の小嶋宏一と申します。
私は、京都南端の茶処、山城で茶師をしております。茶師とは、お茶の色、形、香り、味を利き分け、組み合わせ、代々続く銘柄を作る、お茶の調合師のような仕事です。
私はお茶が大好きで、なんとかこの魅力をさまざまな人にお伝えしたいと思っています。

また日頃より、「茶」と「音」と「光」は、纏いは違えど根っこではつながっていると考えており、創業百五十年の記念すべき年には、なにか「茶」と「音」と「光」が出会うこと(物作りやイベント)をしたい、とぼんやり考えていました。
またそれは、普段「茶」になじみの無い人が「茶」に触れる、「音楽」「アート」になじみの無い人がそれに触れる、そんな機会になればいいなとも考えていました。

この度、当社が創業百五十年を迎えるにあたり、その記念のノベルティとして、学生時代から(一方的に)お世話になっているCOMPUMAさんに、CDを制作していただくことになりました。最初こちらとしては、当社の日本茶喫茶で流すBGM用のミックスCDとかコンピレーションを念頭に、軽い感じで考えていたのですが、制作を進めるうちにどんどん深化して、ギターで竹久圏さん、ジャケットアートに五木田智央さん、写真で塩田正幸さん、デザインに鈴木聖さん、という布陣で制作を進めるプロジェクトにまで発展いたしました。

今回、このプロジェクトに携わってくださる皆さんには、まず、さまざまな京都の山間の茶園をご覧いただきました。山間の茶園というのは、時間帯や光の加減で表情が千変万化し、何の変哲もないのどかな…という時もあれば、子供が遊んでいたらフッと消えそうなくらい、不気味な時もあったりします。その荒々しくも神秘的な姿に、皆さん一様に強い印象を受けておられるようでした。

また当社の茶工場では、お茶作りの肝となるブレンド工程をご覧いただきました。
たとえば、当社で百年くらい続く銘柄「煎茶 清風」の風味は、単一の茶園ではなく、異なる風味の複数の茶園の茶葉を組み合わせ、調和させることで生み出すことができます。
こうしてブレンドされ生み出されたお茶は、もともとは植物の葉であり、目に見える物質です。が、急須の先からこぼれた茶を口に含むと、あとは目に見えない体感だけが残ります。そして、先味→中味→後味→余韻と、漸次的変化を体感します。これは、お寺の鐘の音が「ゴオオオオンンンン・・・」とアタックから減衰して消えゆくまでの体感の変化と、とてもよく似ています。お茶をブレンドするということは、この目に見えない体感を、伸ばしたり縮めたりして、創造することかなと思っています。
そして、この目に見えない体感こそが「茶」の本体、「茶」そのものだとも思っています。
皆さんには、そんなことをお話しさせていただきました。

そうして、ここでの出来事がきっかけとなり、音源制作の方向性が大きく決まっていったように思います。本年6月初旬には、実際にその茶園や茶工場でフィールドレコーディングと、ギター演奏の録音を行いました。途中、山蛭に襲われたり、ちょっとスリリングな瞬間もありましたが、皆さんものすごく集中して取り組んでくださり、なんとか無事、完成いたしました。忍耐強く関わってくださった皆さんに、心より感謝申し上げます。

最初は一企業の記念品として出発しましたが、最終的には完全にCOMPUMAさんのオリジナル作品となりました。と同時に、お茶をテーマとして素晴らしい音楽、アート、写真、デザインが集った、「茶」と「音」と「光」の出会いの記録にもなっています。これは、作為的に企てたことではなく、ごくごく自然に生まれ落ちたという印象があります。なぜこうなったのか、実は今でもよくわからないのですが、なにか特別な「場」の力というものも働いていたのかもしれません。

いずれにせよ、このような特異な創造の現場に立ち会えたことは、私にとって貴重な宝物になりました。そしてこの作品が、自分や携わってくださった皆さんのみならず、まだ見ぬ未来の仲間となるような方々の宝物となってくれたら、とてもうれしく思います。
そして願わくば、また新たな「茶」と「音」と「光」の出会う場が生まれますことを。

平成27年9月1日、創業百五十年の日に。
株式会社宇治香園
代表取締役 小嶋宏一

宇治香園
慶應元年(1865年)に京都山城で創業し、本年9月に150年を迎える、茶ひとすじの老舗茶問屋。
http://www.ujikoen.co.jp

掲載: 2015年09月02日 19:37