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リヒテルの“幻のピアニスト”時代の録音を集成!『リヒテル・イン・ザ・1940s』(2枚組)

リヒテル初期録音集

リヒテルの珍しい音源や映像をリリースしているアメリカのParnassusレーベルが、リヒテルが32~34歳だった1947~49年の貴重なライヴ録音をリリースします。好事家によるディスコグラフィに未掲載だった珍しい録音も含まれています。この時期のリヒテルは、まだ世界的な演奏活動を行う前で、西側世界にとっては文字通り“幻の存在”でした。この時期のリヒテルはモスクワを中心とした演奏活動を行っていました。

そのきっかけは、1937年、22歳のリヒテルが故郷オデッサを離れ、大ピアニストにして名教師のゲンリフ・ネイガウス(1888~1964)に師事するため、モスクワへ移ったときに遡ります。オーディションでネイガウスは「この男は天才だ」「私が待ち望んでいた生徒だ」と喜んだと言われています。

ネイガウスは1940年11月26日、まだ音楽院の学生だったリヒテルをモスクワでデビューさせます。その時に弾いたプロコフィエフのピアノ・ソナタ第6番は聴衆と作曲者を魅了。プロコフィエフは1942年にピアノ・ソナタ第7番を完成したとき、リヒテルに1943年1月18日の初演を任せました。リヒテルはこの難曲を、たった4日間でマスターしたと言われています。

1945年には30歳で全ソビエト音楽コンクール・ピアノ部門の第1位を受賞。審査委員長はショスタコーヴィチで、「リヒテルは驚異的で、非凡の人です。彼の巨大な才能は、私を驚かせ、魅了します。音楽芸術の偉大さに到達できる人物です」と評しています。同年にはソプラノ歌手のニーナ・ドルリアクと出会い、生涯の伴侶となりました。1949年にはソビエト政府からスターリン賞を受賞しました。

今回リリースされるリヒテルの録音は、このように旧ソ連でピアニストとしての名声を高め、プロコフィエフやショスタコーヴィチなどの大作曲家にも認められた時期に行われたもので、当時のリヒテルの演奏を実際の音で確かめることのできる、極めて貴重な録音集であると言えます。心配される音質も、70年ほど前のモノラル・ライヴ録音ながら、発売元のParnassusレーベルによると「驚くほど良い音(Surprisingly fine sound)」とのことで、期待が高まります。

ちなみに、下記1949年の録音データにある「イグムノフ記念演奏会」とは、大ピアニストで1924~29年にはモスクワ音楽院の院長も務めたコンスタンチン・イグムノフ(1873~1948)が前年に亡くなり、その偉業を讃えるために開催されたものです。巨匠リヒテルの若き日の演奏を味わう上でも、当時のモスクワ音楽界の雰囲気を知る上でも、欠かすことのできない録音集の登場と言えるでしょう。
(タワーレコード)

『リヒテル・イン・ザ・1940s』

【曲目】
[CD 1]
J・S・バッハ(1685-1750):
カプリッチョ変ロ長調 「最愛の兄の旅立ちに寄せて」BWV 992(クラヴィーアのための)
ソナタ ニ長調 BWV 963(クラヴィーアのための)
ベートーヴェン(1770-1827):ピアノ・ソナタ第22番ヘ長調 Op.54
シューマン(1810-1856):ピアノのための幻想曲ハ長調 Op.17
J・S・バッハ:
イギリス組曲第3番ト長調 BWV 808(クラヴィーアのための)から サラバンド
[CD 2]
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第3番ハ長調 Op.2 No.3(*)
クライスラー(1875-1962)/ラフマニノフ編曲:愛の喜び(ピアノ版)(*)
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第9番ホ長調 Op.14 No.1(+)
J・S・バッハ:ソナタ ニ長調 BWV 963(クラヴィーアのための)(#)
リスト(1811-1886):巡礼の年 第3年(ピアノのための)から エステ荘の糸杉に(**)
ラフマニノフ(1873-1943):ピアノのための前奏曲嬰ト短調 Op.32 No.12(**)
ラフマニノフ:ピアノのためのメロディー ヘ長調 Op.3 No.3(**)

【演奏】
スヴャトスラフ・リヒテル(ピアノ)

【録音】
1948年11月27日(無印)/1947年5月30日(*)/1947年6月5日(+)/1947年10月14日(#)/1949年4月4日、イグムノフ記念演奏会(**) すべてライヴ

カテゴリ : ニューリリース

掲載: 2017年06月22日 00:00