デニス・ラッセル・デイヴィスのブルックナー：交響曲全集（10曲）が廉価BOX化！

アメリカの鬼才指揮者デニス・ラッセル・デイヴィスと、オーストリアの名門オーケストラ、リンツ・ブルックナー管弦楽団が、2003年から2008年まで5年がかりでライヴ・レコーディングとして完成させたブルックナーの交響曲第0番～第9番の10曲が初めて全集としてボックスセット化！

DRデイヴィスのリンツ・ブルックナー管首席指揮者退任に際して、彼が在任中に成し遂げた最も重要な業績の一つであるブルックナーの交響曲録音がまとめられることになりました。着任した翌年から着手され、ほぼ1シーズンに2曲のペースで定期公演でのライヴ・レコーディングが進められ、DRデイヴィスにとっては、盟友フィリップ・グラスの新作初演・録音（交響曲第6番～第8番、オペラ「ヴォヤージュ」「ケプラー」）と並ぶ重要なプロジェクトでした。この全集の完成によって、DRデイヴィスはハイドン（シュトゥットガルト室内管）、ブルックナー、フィリップ・グラスの交響曲全集を録音した唯一の指揮者となっています。

1935年にブルックナーの故郷リンツでその名を冠することになったリンツ・ブルックナー管は、名前の通り、ブルックナー演奏に一家言を持っていますが、不思議なことにこれまでブルックナー作品の録音は少なく、交響曲全曲録音を完成させたのも1990年代（クルト・アイヒホルンとマルティン・ジークハルトが共同で完成させたカメラータ・トウキョウ盤）になってからで、単独の首席指揮者によって全曲録音を成し遂げたDRデイヴィスが初めてです。リンツ・ブルックナー管の持つ、南ドイツ=オーストリア特有の明るく開放的で、伝統と歴史に裏付けられたサウンド、ブルックナーの音楽にグラス、ジョン・アダムズ、マイケル・ナイマンなどのミニマル・ミュージックとの共通点を強く意識するというDRデイヴィスのユニークな感性とが感応しあい、伝統的要素と革新的解釈とが極めて高い次元で結びついた個性的な全集といえるでしょう。

使用楽譜の選択は、第4番と第8番が第1稿、他の8曲は一般的なノーヴァク版です。
※ このセットには、ブックレットは付属しません。
（ソニー・ミュージック）

ハイドン、ブルックナー、グラス。この全く時代の異なる作曲家の交響曲全集録音を完成した唯一人の指揮者がデニス・ラッセル・デイヴィス（1944～ ）です。ブルックナーの交響曲全集は2003年から2008年にかけて録音され、初めはアルテ・ノヴァ・レーベルより分売で発売されました。しかし当時は、彼の初来日（※2011年）以前ということもあり、大きな注目を集めることはありませんでした。しかし、その後の数度にわたる来日で、すっかりお馴染みの巨匠となった今、彼のブルックナー全集が廉価BOXにまとめられることは意義あることと思います。彼のブルックナー演奏の再評価を問うリリースと言えるでしょう。

※ 初来日は2011年の二期会・宮本亜門演出の“フィガロの結婚”公演。自らフォルテ・ピアノを弾きながらの指揮、クレンペラーのように透明で立派な音楽作り、終演後ロビーで自ら東日本大震災の募金箱を首からかけていた姿が忘れられません。
（タワーレコード）

Disc1
交響曲第0番ニ短調 WAB.100
使用楽譜：1869年/ノヴァーク版
録音：2008年11月23日

Disc2
交響曲第1番ハ短調 WAB101
使用楽譜：第1稿(リンツ稿)/1866年/ノヴァーク版
録音：2005年6月7日

Disc3
交響曲第2番ハ短調 WAB102
使用楽譜：第2稿/1877年/ノヴァーク版
録音：2005年2月22日

Disc4
交響曲第3番ニ短調 WAB103「ワーグナー」
使用楽譜：第3稿/1889年/ノヴァーク版
録音：2005年2月27日

Disc5
交響曲第4番変ホ長調 WAB104「ロマンティック」
使用楽譜：第1稿/1874年/ノヴァーク版
録音：2003年9月14日

Disc6
交響曲第5番変ロ長調 WAB105
使用楽譜：1878年/ノヴァーク版
録音：2006年11月16日

Disc7
交響曲第6番イ長調 WAB106
使用楽譜：1878年/ノヴァーク版
録音：2008年2月7日

Disc8
交響曲第7番ホ長調 WAB107
使用楽譜：1885年/ノヴァーク版
録音：2007年5月24日

Disc9-10
交響曲第8番ハ短調 WAB108
使用楽譜：第1稿/1887年/ノヴァーク版
録音：2004年3月10日

Disc11
交響曲第9番ニ短調 WAB109
使用楽譜：1894年/ノヴァーク版
録音：2005年9月11日

【演奏】
リンツ・ブルックナー管弦楽団
デニス・ラッセル・デイヴィス（指揮）

【録音】
リンツ、ブルックナーハウス大ホール