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8月10日公開:CLASSICバイヤーによるセレクト・アイテム〈CLASSICマスターズチョイス〉

2018年8月10日公開

クラシックマスターズチョイス

若き日のハイドシェックによる名盤が格調高く蘇る!自在さと曲調が見事に調和した名演を世界初SACD化。

2018年7月7日、「エリック・ハイドシェック with カメラータ・ジオン」を前橋市民文化会館大ホールで聴いてきました。モーツァルトのピアノ協奏曲の緩徐楽章のみを集めた極めてユニークなプログラムでしたが、82歳となった巨匠ハイドシェック(1936~)のタッチの瑞々しい美しさと、弧を描くようなフレージング、カメラータ・ジオンのモダン楽器による豊かで、柔らかな響きにより、モーツァルトの天上的なメロディがゆったりと息づき、心静かな感動を味わうことができました。ハイドシェックとしては自分が美しいと思う音楽を奏でているだけでしょうが、モーツァルトの古楽器、古奏法、あるいはモダン楽器との折衷演奏が増えている現代にあっては、「批評」にもなっています。ロマンティックでも古典的でもない、自然な流れをもった演奏でしたが、全ての音楽的ニュアンスが美しく、音楽が聴き手に語りかけてくるような趣を持っていました。当日の演奏で最も感動的だったのはピアノ協奏曲第21番の第2楽章。往年の名画「みじかくも美しく燃え」で使用されたことでも知られる名旋律です。音色、表情とも、これほど清らかな演奏は、滅多に耳にすることはできないでしょう。

この感動がさめやらぬ中、7月27日にハイドシェックがデビュー当時の1957~61年に録音した『モーツァルト: ピアノ協奏曲集(第20,21,23,24,25,27番)』(3枚組)がタワーレコード限定盤として世界初SACDハイブリッド化されました。オンライン担当者なので、BOXの仕様やジャケット・デザインも分かっているつもりでいましたが、手元に届いた現物を見て、想像以上の美しさに驚かされました。

フランス盤のオリジナルLPレコードのカップリングと同様に、第20&23番、第25&27番、第21&24番がそれぞれデジパック仕様のCDとなりケースに収められています。そしてそれぞれのデジパックにはフランス盤のオリジナルLPのアートワークが復活しています。この洒落たタイポグラフィによるデザインは3枚を共通するものとなっており、一番最初に発売された第21&24番のデザインがもととなっています。

ハイドシェック・ジャケット

実はジャケットの左下にデザインを担当した工房の名前と、印刷会社の名前がクレジットされているのですが、今回のデジパックにも再現されています!(写真参照)それによると、第21&24番はカッサンドル工房、他の2枚はジュベール工房のデザインとなっています。印刷会社は3枚共通してメルキュール美術出版です。アドルフ・ムーロン・カッサンドル (1901~1968) は、様々なポスター作品などを手がけたフランスのグラフィックデザイナー、舞台芸術家、版画家、タイポグラファーで、最も有名なのはイヴ・サンローランのロゴタイプ(YSLの組み合わせ、及びYves Saint-Laurentの綴り)でしょう。彼は1950年代にフランスEMIとアメリカAngelのジャケット・デザインを手がけ、多くの傑作を残しています。彼が辞めた後は、弟子のジュベールにその仕事が引き継がれました。つまり、1枚目のカッサンドルのデザインを、2枚目と3枚目は弟子のジュベールが引き継いだ訳です。

もちろん、演奏、録音も素晴らしいものです。少なくとも、これまでに発売された日本盤のLPレコードやCDとは次元を異にする肌理細やかな音、繊細にして鮮烈な音が蘇っています。先の実演で聴いたハイドシェックのタッチの美しさは、約60年前のこのSACDハイブリッド盤にも見事に再現されています。作品、演奏、録音、装丁、全てが揃った名盤として心からお薦めいたします。

モーツァルト: ピアノ協奏曲集(第20,21,23,24,25,27番)<タワーレコード限定>

曲目
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト:
<DISC1>
1. ピアノ協奏曲第20番 ニ短調 K.466、
2. ピアノ協奏曲第23番 イ長調 K.488
<DISC2>
3. ピアノ協奏曲第25番 ハ長調 K.503、
4. ピアノ協奏曲第27番 変ロ長調 K.595
<DISC3> (モノラル録音)
5. ピアノ協奏曲第21番 ハ長調 K.467、
6. ピアノ協奏曲第24番 ハ短調 K.491

演奏
エリック・ハイドシェック(ピアノ)
パリ音楽院管弦楽団
アンドレ・ヴァンデルノート(指揮)

録音
1957年12月24,26日(6)、26-28日(5)、1960年6月3日(1)、8日(2)、1961年9月5,6日(3)、7日(4) サル・ワグラム、パリ

 

1982年11月3日、新潟でのイヴリー・ギトリス&岩崎淑のリサイタルが初CD化!

縦横無尽に駆使される蠱惑的なポルタメント(音のずり上げ、ずり下げ)、官能的なヴィブラート、扇情的なルバート…

2018年8月25日に96歳を迎える現役のヴァイオリニスト、イヴリー・ギトリス(1922~)はクラシック界のまさに生ける伝説と呼べる存在です。ジョルジュ・エネスコ、ジャック・ティボー、ジュール・ブーシュリ、カール・フレッシュ、アリス・パシュクスなど偉大なヴァイオリニストや教育者たちに学び、時代から超越した独自の芸術境に磨きをかけました。1951年、29歳で参加したロン=ティボー国際コンクールでは、聴衆の圧倒的な人気を獲得しながら第5位に終わり、これを不服とした聴衆の騒ぎを収めるため急遽リサイタルを開催することとなり、こうしたスキャンダルが国際的な演奏活動のきっかけとなるなど、彼の生涯も彼の演奏同様に激動にみちていました。

このCDは、彼がまだ60歳で、技巧的にも音色的にも絶頂期にあった1982年の来日公演の模様を初公開したものです。この演奏会でピアノを務めた岩崎淑のアーカイヴから偶然発見されたテープからのCD化で、アナログ特有のヒスノイズがありますが、聴きやすい音に仕上がっています。そしてギトリスの演奏の素晴らしさ。実演やCDで、数多くの彼の演奏に接して来た方にとっては、弾き方といい、レパートリーといい、ほぼ想定内のものと言えるでしょうが、その極め方が彼の他のCDよりもいっそう素晴らしいと思います。ここでは技巧的にゆとりがあることと、音色表現の豊かさが、表情の幅広さを生み、彼の言いたいことが、より一層強く聴き手に伝わることに繋がっています。

彼の一夜のリサイタルをまるごとCD化した例もおそらく初めてで、ギトリスというヴァイオリニストを知る上で今後欠かすことのできない1枚となりそうです。YouTubeは、このリサイタルから21年後の彼の演奏でサン=サーンスの『序奏とロンド・カプリチオーソ』を付けました。同曲はこのCDにも入っているギトリスの十八番の一つです。

ギトリス・ライヴ・イン・ジャパン '82

曲目
(1)ブラームス(1833-97):ヴァイオリン・ソナタ第3番 二短調Op.108
(2)バルトーク(1881-1945):無伴奏ヴァイオリン・ソナタSz.117 BB 124
(3)ショーソン(1855-99):詩曲Op.25
(4)パガニーニ(1782-1840)=クライスラー(1875-1962)編:カプリースOp.1より第13番 変ロ長調
(5)パガニーニ=クライスラー編:カプリースOp.1より第20番 ニ長調
(6)サン=サーンス(1835-1921):序奏とロンド・カプリチオーソ イ短調Op.28
以下、アンコール
(7)アルベニス(1860-1909)=クライスラー編:スペインOp.165より第3番マラゲーニャ
(8)クライスラー:中国の太鼓Op.3
(9)クライスラー:愛の悲しみ

演奏
イヴリー・ギトリス(ヴァイオリン)、
岩崎淑(ピアノ)

録音
ライヴ録音:1982年11月3日/加茂文化会館(新潟)

 


Gitlis plays Rondo capriccioso Camille Saint-Saëns, Introduction und Rondo Capriccioso a-moll Kammerorchester der Musikhochschule Karlsruhe / Leitung, Nachum Erlich - Ivry Gitlis, Violine. Eine Aufnahme von 2004

 

商品本部 洋楽部:板倉重雄

板倉重雄
所属
商品本部 洋楽部
名前
板倉重雄
趣味
レコード蒐集(SP~CD)、音楽書・美術書蒐集、野球観戦
愛聴盤
  • ヨゼフ・シゲティ、ミエチスラフ・ホルショフスキ『ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第1&3番』
  • イェルク・デムス、バリリ四重奏団『シューマン:ピアノ五重奏曲、ピアノ四重奏曲』
  • ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団『シューベルト:弦楽四重奏曲第15番』

大スペクタクル!ハリウッド映画音楽の元祖!

往年のハリウッド冒険活劇をスペクタクルに飾ったコルンゴルトの映画音楽は、その後のジョン・ウィリアムズをはじめとする今日のハリウッド映画音楽作家たちのルーツとされています。コルンゴルトはその神童ぶりゆえ「モーツァルトの再来」と呼ばれ、ウィーンで名を馳せたオーストリアの作曲家ですが、1938年のナチスによるオーストリア併合のため、ユダヤ系のコルンゴルトはアメリカへの亡命を余儀なくされました。しかし、ハリウッド映画の音楽を書く仕事が結果的にはコルンゴルトの名声を不滅のものにします。フル・オケによるシンフォニックな書法をそのまま映画音楽の世界に持ち込んだコルンゴルトの壮大な筆致は、ハリウッド映画音楽の基礎を成し、その後のジョン・ウィリアムズらに継承されていくのです。
2013年にタワーレコードが復刻したアンドレ・プレヴィン指揮ロンドン響による2枚組は、1枚目で往年のハリウッド冒険活劇をスペクタクルに飾った映画音楽をたっぷりと堪能することができます。ブラス・セクションが大暴れし、弦楽セクションが勇壮に、時には甘美に歌い上げるその音楽は実にカッコよく、壮大に鳴りまくるブラスの迫力は気分を高揚させてくれること間違いなし!(『シー・ホーク』~「メイン・タイトル」「謁見の間」、『女王エリザベス』~エセックス伯凱旋行進曲などプログラム→連続リピートでテンション上げに効果抜群でした!) プレヴィンは「大いなる憧れに満ちたメロディとオーケストレーションの誘惑」と、その真髄を言い当てています。また、あの1977年『スター・ウォーズ』オリジナルサウンドトラックを例に挙げるまでもなく、ロンドン響は公式サイトに映画音楽との関わりをコンテンツに掲げるほどのこだわりを持っているオーケストラ。さらに、プレヴィンは一時期ハリウッドで多くの映画音楽を手がけました。いわばコルンゴルトはプレヴィンの大先達にあたるわけです。
2枚目には、亡命前と亡命後のコルンゴルトの本格作品を収録。交響曲では、第3楽章などに映画で使ったモティーフを織り込んでいます。プレヴィンとロンドン響だから成し得た、コルンゴルトの魅力的な2つの側面とその交錯を知ることができる、またとないディスクがこの2枚組なのです。

コルンゴルト作品集 - シー・ホーク組曲, 女王エリザベス組曲, 交響曲, 他

曲目
エーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト:
<DISC1>
1.《シー・ホーク》組曲(ヒューゴー・フリードホーファー、レイ・ハインドルフとミラン・ローダーによる管弦楽編曲)
2.《女王エリザベス》組曲(ミラン・ローダーとヒューゴー・フリードホーファーによる管弦楽編曲)
3.《海賊ブラッド》組曲(ヒューゴー・フリードホーファー、ミラン・ローダーとハインツ・レームヘルトによる管弦楽編曲)
4.《放浪の王子》組曲(ヒューゴー・フリードホーファーとミラン・ローダーによる管弦楽編曲)
<DISC2>
5.交響曲 嬰ヘ長調 作品40
6.組曲《空騒ぎ》作品11から(室内オーケストラのための)

演奏
アンドレ・プレヴィン(指揮)
ロンドン交響楽団

録音
1996年5月(5,6)、2001年7月(1-4) ロンドン

 

なつかしさへいざなう英国音楽珠玉選

往時のLPレコード店にはレコード会社が作った無料パンフレットがいろいろ置いてあったものです。そのひとつにドイツ・グラモフォンが作成したダニエル・バレンボイムのLPを紹介する海外パンフがありました。当時、バレンボイムが次々に録音していたブルックナーやシューマンの交響曲などに交じって、最も強い印象を与えたのが美しい風景画をあしらったジャケット写真でした。
それはバレンボイムがイギリス室内管を指揮した英国音楽のアンソロジーで、その後カップリング替え再編もされたのですが、ジャケットはいずれもチャーチル元英首相の手になる風景画なのでした。原題はそれぞれ“Green Trees and Poppies at Lullenden”(1920)、”Terrace at Trent Park”(1935)です。当時特別に許可をもらってジャケットに使用したとのこと。もちろん、そういう経緯を知ったのはずっと後のことですが、その風景画の風情と、収められた英国音楽の言葉に尽くせない抒情的な美しさは本当に忘れがたいものでした。
タワーレコードが2013年に限定復刻したヴォーン・ウィリアムズ、ウォルトン、ディーリアスの珠玉作を集めたこの精華集は、ほのかなノスタルジーを誘い、聴き手にさわやかなやすらぎのひと時をもたらしてくれます。『グリーンスリーヴズによる幻想曲』や『舞い上がるひばり』、ディーリアスの『春初めてのカッコウの声を聴いて』など、何の知識がなくても、しみじみと心の奥へと届いてくる音楽です。初出時の内容に、再編時に入ったV.ウィリアムズ:オーボエ協奏曲も追加されています。表ジャケはCD初出時のエゼルバート・ホワイトのテンペラ画『夏』。これも素敵です。チャーチル装画ジャケはケース裏に出ていますのでぜひご覧ください。

ダニエル・バレンボイム/イギリス室内管弦楽団

曲目
1.レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ:《グリーンスリーヴズ》による幻想曲
2.同:舞い上がるひばり
3.ウィリアム・ウォルトン:弦楽のための2つの小品(映画音楽《ヘンリー5世》から)
4.フレデリック・ディーリアス:小管弦楽のための2つの小品
5.同:歌劇《フェニモアとゲルダ》間奏曲
6.同:2つの水彩画
7.レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ:オーボエ協奏曲 イ短調

演奏
ダニエル・バレンボイム(指揮)
イギリス室内管弦楽団
ピンカス・ズーカーマン(Vn)(2)
ニール・ブラック(Ob)(7)

録音
1973年7月5日 ロンドン(1,3-6)、8月31日-9月4日 エディンバラ(7)
1974年5月19日 ハンブルク(2)

 

新宿店:森山 慶方

森山 慶方
所属
新宿店
名前
森山 慶方
趣味
音源チェック
書店巡り
ラグビー観戦(JRFUメンバーズクラブ会員)
声楽と指揮を楽しみレベルでまた再開したいなと夢想…
好きなジャンル
オケもの、オペラ・声楽曲、古楽
愛聴盤
  • フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィル『シューマン:交響曲第4番』
  • ベルティーニ指揮ケルン放送響『マーラー:交響曲第3番』
  • クナッパーツブッシュ指揮バイロイト祝祭管 ワーグナー:舞台神聖祭典劇『パルジファル』

タグ : マスターズチョイス

掲載: 2018年08月10日 12:00