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1月3日更新:タワレコスタッフによる星野源『POP VIRUS』レビュー(5)

星野源

暗闇に居てもなお、希望を与えてくれる作品

暗く圧迫感のある世界から抜け出すような感覚に覆われた。音の端々に顔を出す<無力さ>を語る言葉は、星野源さん自身の経験や感情を表現しているのだろうか。表題曲の(1)“Pop Virus”内で割れた鉢植えは、ジャケットの花であり、心そのものであり、<心が割れる音>に聴こえてくる。
だが『POP VIRUS』をネガティブな作品と言い切ることはできそうにない。無意識のうちに私の指はリズムを刻んでいるし、気がつくと身体は揺れている。14曲中に多く表れる「心臓」「鼓動」「胸」といった言葉からは、<生きていく>という漠然とした決意や希望も感じる。何もなかったはずの日常から幸せを見つけ出すことは星野源さんの魅力の1つだが、暗闇に居てもなお、希望を与えてくれるこの作品は私たちの生きる源になるだろう。星野源さんにとっても、私たちにとっても、<再出発>の1枚になる、そう思わずにはいられない。

text by 寺崎

掲載: 2019年01月03日 18:00