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【三毒史対策室】椎名林檎、ニューアルバム『三毒史』はどのようなアルバムになるのか考察!?~その4~

こちらの独り言コラムも第4回となりました。この様な駄文に毎回お付き合い下さるお客様方には毎度大変感謝しております。毎度あり!

さて、今回はアルバムリリース直前、トピックは当然のことながら近日に発表されました新曲2曲にフォーカスを当てております。今回はほぼレビューの様な内容でお届け致しております故、リリース直前、心踊らせ既発曲を聴く際のお供にしていただけたら!

椎名林檎 / 櫻井敦司

まずは5月2日リリース、“駆け落ち者”!BUCK-TICK櫻井さんとのコラボ曲、楽しみにされて居らした方も多かったのではないでしょうか、もちろん担当もその1人でして、ヒントは曲名だけではありながら、どんな曲になるのかと期待を膨らませておりました。

聴く前のタイトルだけの想像だと、“マ・シェリ”の次の曲、“ジユーダム”などもアルバムに収録される事から、可愛らしい雰囲気のそれを多少なりとも想像しておりましたが、いざ聴いてみると、お互い一時たりとも隙を作らず睨み合って対峙している情景が思い浮かぶ様な、ハードで重厚で、緊迫した曲のタイトルが“駆け落ち者”とは、これはもう堪らない…!一瞬でも目を逸らそうものなら背後を取られてしまいそうに殺気立っていて、それでいてお二人の声と吐息が色っぽすぎて…!セクシーとか色っぽいという言葉がチープに聴こえてしまう程、聴くだけで身体が熱くなる様な感覚を覚えました。コラボの域を超えてしまっているんですよね…歌詞然りですが、絡み合って融け合ってしまっていますよね…。

個人的はミヤジの時にもう少し林檎さんの声上げて欲しいかも…!と思ったので(ただミヤジに書き下ろした楽曲なのだもの、ワガママ言ってはいけませんが…)今作は声のバランスの均衡が取れているような気がして嬉しいです。

林檎さんは10年来のBUCK-TICKファンとの件、昔どこかで拝見したことが御座いました。曲全体からもう愛が伝わってきますね、コラボ曲全てに於いて言える事ではありますが!またどこかでこのコラボがお目にかかれることがあればまた椎名さんの恥ずかしがってらっしゃる御姿を拝見することが出来るのでしょうか…見たい…どうしても見たい…。

ライナーノーツと共に歌詞が5月16日に解禁されておりましたね。日本語詞でしたのでリリース直後から必死にリスニングして書き起こしてはいたのですが、矢張りお二人とも独特の声と林檎さんの言葉選び、凡人には予想出来ない部分もございまして完璧には聴き取れず…。

あの掛け合いの部分、“p H は な な の ま ま む す び つ く ま ま”でしたね…。そう来たかと…"酸性と塩基性"のところに気づいて居りながら機転の利く発想が出来ませんでした…。椎名さんの相変わらずの言葉選びに感服致しました。

刺々しさと毒々しさ、三毒史というタイトルに合った世界観、5月2日時点で愈々という感じがしておりましたね…!

椎名林檎

そして5月17日リリース“TOKYO”
5月2日から2週間ほど経ってのリリース。近頃愛好家の中では最も話題に上がっている曲といっても過言では無いでしょう。アルバムの中心に鎮座する今作。個人的にはこちらの曲はリリースまで解禁されぬものだと思っておりましたので、驚きやら喜びやらで心の準備が付かぬまま0:00を迎えてしまいました。

正直最初に芽生えた感情は、世紀の大発明か?!?!これ!これだ…私たちが聴きたかったのは…!!!ということですね…。

いや、愛好家の方々はほぼ毎度のことだと思うのですが、新しい曲を作られる度こう思ってしまうんですよね!(笑)この世にあって欲しいものを作ってくださってありがとうございます。人生は夢だらけ、ありきたりな女好きな方からしたら最高でしかないと思いますこの曲。近頃の椎名さん、こういう完全にジャズ畑のお方だな…と思わせる名曲が多すぎますね(実際には他の曲も良すぎてジャズだけではないことを思い知らされるのですが)。ミュージカルのようでもあるし、朗読のように脳に突き刺さる歌詞。音数が多い曲も無論素敵なのですが、真っ向から心に刺さるシンプルな1曲。

曲を聴きながら今までの文章も書かせていただいているのですが、繰り返し聴いていても、今回限りは他の事が出来ない程のめり込んで仕舞い、いざ書こうと心に決めても再生して仕舞えば最後停止ボタンを押すのも阻まれ、なかなか作業が進まず難航致しました…。

音源で既に何度か涙しましたが、もしライブで拝見できた暁にはと思うと…!

8分の6拍子で繰り広げられる3:44、先ずは背中を擽られる様なピアノのイントロから始まり軽快に奏でられる旋律と、アンニュイで憂いに満ちた歌詞の相反。椎名さんの吐息を耳元で感じる唄の録音もやけに生々しく聴こえます。

繰り返し聴いて噛み砕いていくと、軽快に聞こえてくるメロディーもそれだけではなく、曲間で様々な役目を果たしていることがわかります。チョ助の湿った低音、みどりんの繊細なドラム、林さんの意図を汲みとるピアノだからこそ成し得た1曲…至高以外の何物でもありません。

序盤は動揺や不安、そして気づかされる孤独。転がり落ちるような夢と現実の乖離。1サビ後からの流れは焦燥→都会を忙しなく行き交う人々の喧騒。2サビはひとり打たれている雨音、張り裂けそうな心の叫び。Cメロ入りの不協和音は心の不安定さを表しているのではと。大サビ~の現の世界諦めからの神様、仏様への流れも美しい…。

時代はまさしく現代。ライナーノーツも参照していただける通り、2019年の我々をスケッチしたとされて居ます。

今回は歌詞も配信されておりました故、ある程度必要な情報は我々に開示されている状態でした。歌詞を見ながら拝聴致しましたが、改めて日本語の言葉選びの美しさ。林檎さんの楽曲って、何時も決して恩着せがましく個人に寄り添って励ましたり慰める事はしないのだけれど、今回の作品も然り、人間の過去の体験や根底に持つ闇や憂いから何処からとも無く共感性を生み、感銘を呼ぶことによって結果この唄が多くの人を深く暗い底から掬い上げてくれる。夜に都会の大喧騒の中外で1人で聴きたくなる大名曲。此処東京でこの楽曲に触れられて、感銘を受けられるこの身が存在していることが如何に幸福なことなのだろうかと胸が締め付けられる思いです。

あと我々に提示されていないカードは“急がば回れ”、“あの世の門”の2曲となりました。 既出の曲を聴いて、なんとなく前半が闇、後半が光のような役割を果たしているのではないかと感じました。今まで林檎さんの曲は<生>について描かれているものが多いですが、アルバム中心に鎮座するTOKYOから漂う“死”の馨り。

今回はもう殆ど曲目が出揃っております故、曲の流れについては殆ど割愛させていただきました(文字数が…)。前回のコラムの考察通りにいけば駆け落ち者と対となるだろう、急がば回れは軽快なポップチューンになるのでしょうか?そして鶏と蛇と豚と対になるだろうあの世の門。ブルガリアのヴァーニャ・モネヴァ・クワイヤ(女声聖歌隊)のコーラスを入れているとのこと。どれだけ開けて神々しい世界観でアルバムを締めくくるのか…。そして既出の曲を通して1枚がどのような作品に仕上がるのか…。想像が膨らみますね。

初期三部作があって、新三部作がこれにて完結。成る程、此処でも矢張り『加爾基』とリンクしているような感覚のヒントがあったのかと妙に納得がいきます。
林檎さんはこのアルバムで私達にどのような世界を見せて下さるのか、そしてその先にあるものとはー。

5月27日まで愈々待ったなし、心してその日を迎えましょう。それでは!

掲載: 2019年05月23日 17:34