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WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.43

ポール・チェンバース 『ベース・オン・トップ』(1957)

BOT

ポール・チェンバース(b)
ケニー・バレル(g)
ハンク・ジョーンズ(p)
アート・テイラー(ds))

1957年7月14日、ニュージャージーにて録音

曲目:
01.イエスタデイズ
02.ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ
03.チェイシン・ザ・バード
04.ディア・オールド・ストックホルム
05.ザ・テーマ
06.コンフェッシン
07.チェンバー・メイツ

【アルバム紹介】
1.モダン・ジャズ・ベースのレジェンド代表作
2.ベースがトップに立って弾きまくる豪快さ
3.指弾き、アルコ弾き、ジャズ・ベース特有の奏法で魅了

前回ご紹介しましたザ・グレイト・ジャズ・トリオのピアニスト、ハンク・ジョーンズはブルーノート・レーベルの超名盤に参加していることでも知られています。その筆頭に挙げられるアルバムがこのコーナーのVol.11で取り上げたキャノンボール・アダレイの『サムシン・エルス』、もう一つはその前年にレコーディングされたレジェンド級のモダン・ジャズ・ベーシスト、ポール・チェンバースの『ベース・オン・トップ』といえるでしょう。

ハンク・ジョーンズはサイドメンとしての才能にも長けたピアニストですが、ジャズのコンボでその適性を最も重視されるパートはやはりベース。多くのベーシストの中でも、ポール・チェンバースは類稀なる才能の持ち主ゆえ、マイルス・デイヴィス、ジョン・コルトレーン他数多くの名作アルバムに参加し、その存在感のあるベースを聴かせています。

そのチェンバースのブルーノート・レーベルでの代表作になるのが本アルバムで、ここでのチェンバースは裏方というより、アルバム・タイトルのごとく、ベースをメロディ楽器としてトップに置き、巧みなソロを披露しています。
ジャズ・ベースは通常、指弾きではじいてベースラインを奏しますが、一方で弓で弾くアルコ奏法があり、その卓越したプレイをここでは存分に聴けます。

取り上げている楽曲はスタンダードやマイルス・デイヴィスのものなど、ジャズの王道をゆく選曲になっておりますが、編成はサックスやトランペットなどの管楽器がなく、ギター、ピアノ、ドラムスというカルテット編成になっており、お聴きになればお分かりの通り、管楽器の役目をリーダーであるポール・チェンバースがベースでやってしまっている、というものです。本作はベースがフロントに立つ、という非常にユニークなアルバムだといえます。

モダン・ジャズ期に大活躍したポール・チェンバースは1969年に結核のため、33歳という若さで亡くなりましたが、ジャズ・ベースのお手本ともいえる数々のプレイは今なおプレイヤーたちに影響を与えています。

【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
アルコ奏法で情感豊かに聴かせる “イエスタデイズ”。

本作を最初に聴いた時、1曲目のスタンダード・ナンバー“イエスタデイズ”のあまりに静かに、瞑想的な演奏で始まる様子に「これ、ブルーノートのアルバム?」と少々面食らった記憶があります。ベースはアルコ奏法、そしてバックにはギターというデュオでルバートで展開しますが、2分半をすぎたあたりから、イン・テンポになり、さらにベースはアルコでソロを弾きまくり、そこでようやく「これがアルバム・タイトルの “ベース・オン・トップ”という意味か」と理解できる仕掛けになっています。この曲を最後まで聴き終えてまず思うのは、非常に情感豊かなベースで聴かせる“イエスタデイズ”だったということ。同曲はいろいろな人が演奏しておりますが、ここでの演奏はとても個性的な解釈だといえます。
本作を聴くと、全編を通してポール・チェンバースはジャズ・ベースという楽器のソロ楽器としての可能性をも最大限にアピールしていることが伺えます。
チェンバースは先述の通り、多くのジャズ・ミュージシャンのアルバムに参加したスーパー・ベーシストでした。それゆえミュージシャンたちから多くのリスペクトを集め、ジョン・コルトレーンは自身のアルバム『ジャイアント・ステップス』の中で“ミスターP.C.”という曲を捧げているのは有名な話です。

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タグ : WEEKEND JAZZ

掲載: 2019年09月13日 10:00