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WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.56

ケニー・ドーハム『静かなるケニー』(1960)

KD

ケニー・ドーハム(tp)
トミー・フラナガン(p)
ポール・チェンバース(b)
アート・テイラー(ds)

1959年11月13日、ニュージャージーにて録音

曲目(LP初発売時の収録内容と同じ):
01.蓮の花
02.マイ・アイディアル
03.ブルー・フライデイ
04.アローン・トゥゲザー
05.ブルー・スプリング・シャッフル
06.アイ・ハド・ザ・クレイジェスト・ドリーム
07.オールド・フォークス

【アルバム紹介】
1.名トランぺッター、ケニー・ドーハムのワン・ホーン・カルテット名盤
2.作曲に長けたドーハムのオリジナル名曲“蓮の花”収録
3.トミー・フラナガンら名プレイヤーたちが参加。

前回はテナー・サックス奏者ジョー・ヘンダーソンの初リーダー作『ページ・ワン』を紹介いたしました。そこに収録の名曲“ブルー・ボッサ”の作曲者であり、トランぺッターとして参加していた名手ケニー・ドーハムにスポットをあててみました。
本作は、ドーハムが1959年にワン・ホーン・カルテットの編成でレコーディングした名作です。

タイトルの『静かなるケニー』は、ドーハムの丸みを帯びたトランペットのトーンがそう思わせ、クールなプレイがよりその特徴を伝えているところからきています。トランペットというと、派手でブライトな音色で吹きまくるイメージがありますが、ここでのドーハムは落ち着いた、メロディアスなアプローチを心がけています。わかりやすく言うとすれば「渋くてカッコいい」といった形容になります。

先述の“ブルー・ボッサ”といった名曲を世に送り出し、作曲能力に長けたプレイヤーでもあり、本作の1曲目の“蓮の花”もドーハムの代表曲のひとつとして有名なナンバーです。この他、取り上げているスタンダード曲はメロディ・ラインが心にしみるような楽曲が多く、バラードになると殊にドーハムの見事なプレイが光ります。2曲目の“マイ・アイディアル”での抒情性に満ちたトランペットは絶品です。

参加しているバックのメンバーの顔触れも申し分なく、ピアノは数々の傑作にサイドメンとして参加しているせいで、“名盤請負人”の俗称で知られるトミー・フラナガン、ベースはモダン・ジャズ・ベースの巨人ポール・チェンバース、そしてドラムスはフレキシブルな快演で魅了するアート・テイラー。

ワン・ホーン・カルテットで繰り広げるケニー・ドーハムのトランペットの神髄をぜひ、ご堪能ください。

【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
自身のペンによるオリジナル名曲“蓮の花”。

ポップス系のアルバムでいう“シングル・カット”曲を本作の中から選ぶとすればやはりこの曲です。
曲は、まずアフロ・キューバン風の3連を基調としたリズムをドラムスが打ち出し、メロディの冒頭部分を奏で始めますが、すぐに4ビートとなり、軽快に進行します。
本作は管楽器はドーハムのみのワン・ホーンのため、テーマを提示後にすぐにソロへと向かいます。スイングするビートの上をメロディアスにフレージングをつないでいくドーハムのセンス抜群のプレイは必聴です。続いてトミ・フラのピアノ・ソロに移り、その後、テーマ・メロディをモチーフしたキメを繰り返しながらアート・テイラーのドラム・ソロが展開されます。そして再びテーマに戻り、最初のメロディは少々リズム・アレンジを変えて再現、最後に、曲の頭と同じ、アフロ・キューバン風の3連リズムの上でテーマ・メロディの冒頭部分を奏でてエンディングとなります。
終わり方が唐突な感じもしますので、次に続くバラード・ナンバー“マイ・アイディアル”をそのままセットで聴いていくと、動と静のコントラストの妙が味わえて、本作の深みをより実感できます。

SHM-CD国内盤(一般普及盤)

 

輸入盤CD

 

タグ : WEEKEND JAZZ

掲載: 2019年12月13日 10:00