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Jeannette Lambert(ジャネット・ランベル)|ジャズ・ヴォーカル王国カナダの知られざる秘宝による本邦デビュー・アルバム

Jeannette Lambert(ジャネット・ランベル)

ダイアナ・クラール、ホリー・コール、ダイアナ・パントンはじめ多くのジャズ・シンガーを送り出したヴォーカル王国カナダの知られざる秘宝=ジャネット・ランベルの遅すぎた本邦デビュー・アルバム。

ダイアナ・パントンのレギュラー・ギタリストを務めるカナダを代表するジャズ・ギタリスト、レグ・シュワガーの妹であるシンガー、ピアニスト、ジャネット・ランベルの入手困難となっていたファースト・アルバムが2020年に配信のみで甦り、そして26年振りにCDとして復刻!

ジャネットは今作について、「物語に満ちた映画のような作品」と説明している。冒頭の「Givre」では実際に、モノクロ・フィルムで短編のプロモーション・ビデオを撮影してYouTubeにも公開している。たしかに収録されている曲はどれも幻想的な雰囲気に包まれて、陰影に富んだ映像美が感じられる。彼女自身も、聴覚的であると同時に視覚的な音楽を目指しているという。例えば、北欧のカーリン・クローグや、イギリスのノーマ・ウィンストンといったヴォーカリストにも通じる様な、クールでエレガントな空気をまとい、それでいて叙情的な美しさも併せ持っている。それに、あえてオリジナル曲にこだわるのは、ミシェルとレグの作曲家としての才能に絶大な信頼を持っているからであり、彼女もまた歌詞というストーリーの世界観を充分に重んじているからだ。素晴らしい楽曲がずらりと並ぶが、彼女自身もお気に入りだというソフト・ボサの「Dreamcather」、まるで女性版チェット・ベイカーと言いたい淡い哀愁が漂う「Ask Her」、60年代ヨーロッパのモーダル・ジャズを捕らえたような「Winter Solstice」が筆頭に挙げたい。どれも深い内省を秘めているが、その中にきらりと光るフレッシュな輝きを見つけることができる。それがこの作品の魅力だ。──山本勇樹(ライナーより)

 

掲載: 2020年12月30日 12:32