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第166回芥川賞受賞!砂川文次『ブラックボックス』

ブラックボックス

ずっと遠くに行きたかった。
今も行きたいと思っている。

自分の中の怒りの暴発を、なぜ止められないのだろう。
自衛隊を辞め、いまは自転車便メッセンジャーの仕事に就いているサクマは、都内を今日もひた走る。

昼間走る街並みやそこかしこにあるであろう倉庫やオフィス、夜の生活の営み、どれもこれもが明け透けに見えているようで見えない。張りぼての向こう側に広がっているかもしれない実相に触れることはできない。

気鋭の実力派作家、新境地の傑作。


砂川文次は、1990年大阪生まれ。2016年に「市街戦」で第121回「文學界新人賞」を受賞した。今作で「芥川賞」は3回目のノミネート。

掲載: 2022年01月24日 14:50