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WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.296

オリヴァー・ネルソン『ブルースの真実』(1961)

ON

フレディ・ハバード(tp)
エリック・ドルフィー(as,fl)
オリヴァー・ネルソン(ts,as)
ジョージ・バロー(bs)
ビル・エヴァンス(p)
ポール・チェンバース(b)
ロイ・ヘインズ(ds)

1961年2月23日、ニュージャージーにて録音

曲目:
01.ストールン・モーメンツ
02.ホー・ダウン
03.カスケイズ
04.ヤーニン
05.ブッチ・アンド・ブッチ
06.ティニーズ・ブルース

【アルバム紹介】
1.サックス奏者であり、優れた作編曲家オリヴァー・ネルソンの傑作
2.広義の意味でのブルースを追求した1作
3.メンバーにはフレディ・ハバード、ビル・エヴァンスら豪華な面々

今回はインパルス・レーベルの名盤をご紹介いたします。
1961年にレコーディングされたサックス奏者であり、優れた作編曲家でもあるオリヴァー・ネルソンの傑作になります。

本作はタイトルが示す通り、ブルースを追求した1作でありながら、単に12小節のブルースを取り上げているわけでなく、楽曲の構造はそれぞれが個性的であり、探求心の上に成り立っています。作曲はほぼオリヴァー・ネルソンのオリジナルになっており、2曲目の“ホー・ダウン”だけはアメリカの作曲家アーロン・コープランドの作品にインスパイアされたものになっています。

本作の知名度を上げている大きな要素としては、参加しているメンバーが豪華なことが挙げられます。フロントの顔ぶれは、オリヴァー・ネルソン以外だと、トランペットにはこの時22歳の若手注目株だったフレディ・ハバード、アルト・サックスとフルートは異才を放つ名プレイヤー、エリック・ドルフィー、バリトン・サックスにはジョージ・バロー。加えてリズム・セクションには、本作がオリヴァー・ネルソンとの唯一の共演というピアノのビル・エヴァンス、ベースはモダン・ジャズの名盤にこの人ありきのポール・チェンバース、そしてドラムスは名手ロイ・ヘインズとなっています。

【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
オリヴァー・ネルソンの代表曲であり名曲“ストールン・モーメンツ”。

すぐれたコンポーザーでもあったオリヴァー・ネルソンの書いた名曲ですが、多くのジャズ・ミュージシャンに取り上げられており、60年代以降にスタンダード曲となった1曲でもあります。
テーマは16小節のマイナー・ブルース調の構造になっており、ソロが始まると12小節のブルース進行になってゆきます。
頭の4小節の短いイントロのあとに、印象的なテーマ・メロディが現れます。テーマ提示後はソロに移りますが、順番はフレディ・ハバードのトランペット、エリック・ドルフィーのフルート、オリヴァー・ネルソンのテナー・サックス、ビル・エヴァンスのピアノと続きます。ベースとドラムスは終始クールにリズムを刻み、その上を各人のソロが展開されてゆく様は「ジャズってカッコいい!」といった雰囲気が表れています。ソロを終えて再び16小節のテーマに戻ると2回繰り返し、余韻を残すかのようにエンディングをむかえます。
ちなみに本作がこの時代のジャズらしい、いいサウンドを放っているのはエンジニアがブルーノート、プレスティッジ等で名を馳せた名匠ルディ・ヴァン・ゲルダ―であることが要因として大きいです。
本作は完成度が高かったこともあり、オリヴァー・ネルソンはこの3年後の1964年に『続ブルースの真実』というアルバムを発表しています。ただしメンバーはガラっと変わっており、しかも、オリヴァー・ネルソンは演奏には参加しておらず、作曲とアレンジに徹しているというものになっています。

国内盤SHM-CD

タグ : WEEKEND JAZZ

掲載: 2024年10月04日 10:00