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昭和100年を迎える今年、語り継ぎたい懐かしの“遊び”、子どもたちが夢中になったベーゴマ、ケン玉、ゴム跳び……

夢中になって遊んだ子どもの頃。いつの時代も、元気いっぱいの子どもたちは様々な“遊び”に熱中してきた。時代とともに流行や遊び方は変化してきたが、夢中で遊ぶ子どもたちの姿は変わらないままだ。

昭和100年を迎え、昭和の記憶も次第に遠のきつつある2025年。そんな今だからこそ、語り継ぎたい昭和の“遊び”を伝える一冊として書籍「こども遊び大全」が発売された。本書は1981年に上梓された、実践的民俗学者でイラストレーターの遠藤ケイによる作品を再文庫化したもの。手書きの温かみのある文章とイラストで、昭和の遊びの魅力を色鮮やかに描き出している。

●削る、鉛を付ける……改造して強化したベーゴマ

ベーゴマは鋳型で作られたコマで、5~10円程度で駄菓子屋で販売されていた。遊び方は、桶にゴムやゴザを被せ、くぼみを作った「トコ」の上で戦い合わせる。相手のコマを外に弾き出した方が勝利だ。

負けると相手にコマを奪われるルールは賭け事にも近く、学校では禁止令が出されることもあったという。しかし、そんなスリルにも夢中になっていた子どもたちは、大人の目を盗んでは勝負を重ね、秘中のテクニックを身に付けていった。

ベーゴマのまわし方にも、いろんなテクニックがあり、人しれず得意技を磨いた。小さい子は“カモ”にされたが、誰もがそうして強くなった。 (※注)

また、コマを奪われないよう、子どもたちはコマを強くする“改造”に熱心に取り組んだ。コンクリートなどで削って底を低くした「ペチャ」、周囲をギザギザに削る「ギザ」、鉛やロウを溶かして付けた「鉛ガン」など、強化の方法は様々。

最強のコマは「ダッチャン」や「シンショウガン」などと呼ばれ、負けて取られてしまった時のショックは計り知れない。平成に入ると、ベーゴマの進化系といえる「ベイブレード」が生まれた。ベイブレードは近年でも人気が続いており、ベーゴマは形を変えながら現代に受け継がれる遊びとなっている。

●難しい技を習得し、競い合ったケン玉

昭和時代、子どもたちはケン玉の技を競い合い、夢中になって遊んでいた。空き地に友達が集まらない日は、1人で難しい技の習得に励んだ。中でも、小皿・大皿・剣先の順に受ける「日本一周」や、玉を持ち、ケンを振り出して一回転させる「飛行機」などは簡単に攻略ができない難関技。子どもたちは攻略のために工夫を凝らし、玉の穴を削ったり、剣の先に鉛筆のキャップを嵌めたりと改良を施していった。

ケン玉は1人遊びの要素が強いが、技を習得すると友達と技比べをして楽しめる。向かい合い、1人ずつ同じ技を披露しあうルールで、失敗すると罰ゲームを受けることもある。そのため、負けないようにコツコツ練習を続ける子が多かったという。ケン玉は、ベーゴマと同様、時代とともに進化を遂げた遊びのひとつだ。今ではスポーツやパフォーマンスの要素も加わり、毎年世界大会が開催される競技となっている。

●赤ん坊をおぶりながらもゴムを跳んだ女の子たち

昭和時代、女の子に大人気だったゴム跳びは、張ったゴムを跳ぶというシンプルな遊びだ。使うゴムはパンツのゴムや数本の輪ゴムを繋げたものなど、身の回りにあるものを活用していた。ゴムの高さは靴、膝、腰と徐々に上がり、それに伴って難易度も増すと遊びは白熱。最後まで残るために、子どもたちは必死で練習に励んだ。高さによって、「男跳び」「女跳び」など様々な跳び方が工夫されていた。

遊び場は、表通りから外れた家の近くの路地。子だくさんの家庭が多かった昭和時代、女の子たちは弟や妹の子守りを任されることも多かった。そのため、赤ん坊をおぶってゴムを跳ぶことも当たり前だったという。今では考えられないが、それも昭和ならではの光景だったのだろう。

また赤ん坊もなれたもので、駆けたり、跳んだりして揺すられながらコトコト眠りこけた。(※注)

身の回りの物を使い、道路や空き地で遊んでいた昭和の子どもたち。外遊びの規制が増え、ゲームやスマホが主流となった現代でも、ベーゴマやケン玉など、今もなお受け継がれる遊びは意外に多い。「こども遊び大全」は、昭和を知る世代も知らない世代も、かつて何かに夢中になった子ども時代を思い出させてくれるに違いない。

※注:『こども遊び大全』より

こどものためのあそびうた

タグ : レビュー・コラム

掲載: 2025年03月26日 21:57

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