「クズとワルしか出てこない」と話題の映画『悪い夏』の原作者・染井為人は芸能界経験者!?
今年3月20日から公開が始まっている映画『悪い夏』。「クズとワルしか出てこない」と評判になっている本作は、小説家・染井為人の同名小説を映画化したものだ。異色の経歴を持つ原作者の染井とはどのような人物なのか、過去作も交えて掘り下げてみよう。
●芸能界にいたことも?映画『悪い夏』で話題の小説家・染井為人
映画版『悪い夏』は、日本アカデミー賞最優秀脚本賞の受賞経験もある向井康介が脚本を担当。さらにVシネマなどで多数の実績もあり、幅広い作風で人気の城定秀夫が監督として指揮を執った。主演は北村匠海が務め、河合優実や窪田正孝など錚々たる豪華俳優陣を起用したことでも話題となっている。
そんな映画『悪い夏』の原作者である染井は、同作で2017年の横溝正史ミステリ大賞優秀賞を受賞し小説家デビュー。まだ作品数はそれほど多くないものの、2020年の「正体」は2022年にドラマ化、2024年には映画化されるなど実写化との親和性が高い。
もともと芸能プロダクションのマネージャーをしていたという異色の経歴を持ち、マネージャー時代にはタレントと日本全国を巡り、東北にも何度か足を運んでいる染井。東日本大震災が起こった2日後にも福島を訪れ、そこで目にした光景や仕事で関わった震災復興イベントなどの経験は、復興支援金詐欺事件を描いた作品「海神」にも活かされている。
さらに、2024年にはマネージャー経験を活かした作品「芸能界」を発表。タレントを10年かけて育て上げたマネージャーの話、中傷や孤独と戦うアイドル俳優の話など、芸能界にいたからこそ書ける7つの“裏側”を描いた。
過去の経験を活かして描き出す人物描写や人間関係が、染井の持ち味ともいえるだろう。今回映画化した「悪い夏」は、さまざまな「悪意」に満ちた世界が描写されている。生活保護の不正受給、子どもを虐待する母親、脅迫するケースワーカー、成り上がろうとするヤクザなど、一見異なる環境にいるキャラクターたちの運命が、少しずつ絡み合って悪意の相乗効果を生んでいくのだ。
物語は、ごく平凡なケースワーカーである主人公・佐々木守が、先輩に脅されていたシングルマザー・林野愛美と娘の美空に善意で近づいたことがきっかけとなり、普通の世界から足を踏み外していく。さまざまな思惑が絡みつつも悲劇に向かって転落していく様は、ただただ恐ろしさを感じさせる。
染井のデビュー作「悪い夏」を読んで、人間の持つ“弱さ”と、ちょっとしたことから足を踏み外してしまう“怖さ”を体験してほしい。
映画『悪い夏』イメージソング
OKAMOTO’S「Cheep Hero」
タグ : レビュー・コラム
掲載: 2025年04月01日 22:45