インタビュー

DOT ALLISON

 月の光に照らされたユリのように、闇に美しく映える儚い歌声で世界中を魅了する歌姫、ドット・アリソン。ポール・ウェラーやピート・ドハーティとのデュエットも披露したニュー・アルバム『Room 7 And A Half』で語られるのは、相互依存、不倫、喪失、結束、愛にまつわるエトセトラ――。

荒涼としたものと美しいものを合わせた感じ

  90年代、UKクラブ・ミュージック・シーンで注目を集め、全米チャートでも成功を収めたワン・ダヴ。その歌姫としてデビューを飾ったドット・アリソンがソロ活動に転身したのは97年のこと。それ以来、彼女はデス・イン・ヴェガスやピート・ドハーティの作品で歌ったり、「ダニー・ザ・ドッグ」など映画のサントラに参加したりしながら、じっくりと時間をかけて新しい作品を発表してきた。そんな彼女にしては、前作から2年という比較的短いブランクで完成した新作が『Room 7 And A Half』だ。これまでデイヴ・フリッドマンやクレイマーなど、スタイルがハッキリしたプロデューサーを迎えてきた彼女だが、今回、パートナーに選んだのはロブ・エリス。PJハーヴェイとのコラボレーションを気に入っての起用らしい。

  「今回の曲作りは2004年には始まっていたわ。それからだんだん曲が溜まってきて、プロデュースされるのを待っていたの。そう、私は最近どんどん多作になっているのよ。90年代の頃ほど、遊びに出かけて時間を無駄にしなくなったからね(笑)。ロブとのレコーディングは素晴らしいものだったわ。ロブは本当にクリエイティヴなプロデューサーなのよ、お互い似た考えの持ち主だし」。

 彼女がロブにリクエストしたことのひとつが、ニック・ケイヴの盟友ミック・ハーヴェイや、ジェイムズ・ジョンストン、テリー・エドワーズなどバッド・シーズのメンバーを招くこと。ミックに関してはロブ同様、PJハーヴェイとの共演が彼女の興味を惹いたらしいが、そんな腕利きミュージシャンたちによるハードボイルドな演奏が、ドットのヴォーカルに深い陰影を与えている。

 「彼らの演奏は素晴らしかったわ。彼らの創造力、それにチョイスするサウンドがすごいの。荒涼としたものと美しいものを合わせた感じね。本当に〈ゴージャス〉としか表現のしようがないわ」。

▼文中に登場したアーティストの作品を紹介

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掲載: 2009年11月11日 18:00

文/村尾 泰郎