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インタビュー

DD -DAISHI DANCE- 『NEW PARTY!!』



より時代が求める音を鳴らすべく〈リブランディング〉。日頃のDJ活動を通じ、肌で感じているムードをパックしたオリジナル作!!



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デビューから7年、通算5枚目となる新作『NEW PARTY!!』を、DAISHI DANCEは〈リブランディング・アルバム〉と謳っている。7年という歳月は決して長いわけではないが、移り変わりの早いダンス・ミュージック・シーンにおいては捉え方がまた違う。実際、ここ数年でワールド・スタンダードは大きく変化した。彼自身、長年DJとして活躍するなかでそれを感じているようで、「ダンス・ミュージックに限らず、音楽全体がより派手で盛り上がるものを追求している。この何年かで新しい流れが動き出した感じがしますね」と語る。

これまでもDAISHI DANCEは絶えず変化/進化してきた。デビュー当初の〈メロディアスでドラマティック〉なサウンドから、徐々にDJ視点が組み込まれたダンサブルなものへ——その過程を経てのいまの極致、ダンス・ミュージックに特化したのが今回の新作である。実際、イントロを除いた全曲が確実にフロアを揺るがすキラー・チューンだ。よりアップリフティングでホリックな魅力を備えた、唯一前作に続いて招いたGILLEが歌う“LET ME FLY POW!”、彼の持ち味である哀愁味を昂揚感へとシフトさせ、壮大な世界観を獲得した加藤ミリヤとの“I miss you”、さらには初めてレゲエ/ダンスホールにアプローチした爆発力この上ないフェラル・イズ・キンキーとの“BRING DAT”、スカルをフィーチャーした“Take You There”など、すべてがダンサブルだ。

「今回は単純に、クラブで盛り上がる曲に徹した作品ですね。DJとしていま自分がかけたいもの、フロアでいま求められていると感じる曲だけを初めてパッケージしています。とはいえ(自身の)既存のパブリック・イメージを裏切るつもりはなく、これまでの手法や感性は踏襲しながら、それをいまの自分の感覚に合わせて作った感じ、言わばいちばん素の自分が出ている作品かもしれない」。

彼の言う〈素〉とは何か……それはやはりDJとしての自身だろう。アルバム全体に漂う雰囲気は、いまを切り取ったかのようなフレッシュさがありつつ90年代から2000年代初頭のエッセンスも採り入れており、またオリジナル作品でありながらまるでミックスCDのようなストーリーテリングを見せているところなどは、DJならではのアプローチだ。なおかつ、そういったDJの視点と既存のスタイル——繊細さやメロディー感——を再構築し、随所に〈らしさ〉も垣間見せる。今回はそんな離れ業を実現しているのだ。さらに、リブランディングにあたってはDAISHI DANCEからDDとアーティスト名を改め、アートワークも刷新した。

「本音を言えば、今回はすべて衝動的なものなんですよ。だからこそ、すごく勢いがあると思うんです。一新したアートワークやロゴもそう。それらは自分の趣味の延長線上というか、自分のプライヴェートなファッションにもリンクした、すごくリアルなものなんです。これからはアッパーな音楽性を持ったメインのプロジェクトとしてDDがありつつ、DAISHI DANCEはDAISHI DANCEでメロディアスな作品も作っていきたいと思っています。〈定番〉と〈いま〉とで作品をわけるの巻です」。

絶大な支持を獲得しているなかでのリブランディング。それはとても勇気のいることだが、彼はみずからの衝動に基づいて決断した。それもまたDJであるがゆえの英断。そんな男のいまをぜひ今作で感じてほしい。



▼新作に参加したアーティストの作品。
左から、GILLEの2013年作『I AM GILLE 2』(ユニバーサル)、10月2日にリリースされる加藤ミリヤのニュー・シングル“Lonely Hearts”(ソニー)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2013年10月24日 18:30

更新: 2013年10月24日 18:30

ソース: bounce 359号(2013年9月25日発行)

インタヴュー・文/杉山忠之

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