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インタビュー

INTERVIEW(2)―ギターで表現することの難しさと楽しさをあらためて実感した。

 

ギターで表現することの難しさと楽しさをあらためて実感した。

―楽曲について色々と伺いたいと思います。まずは、鐘の音と讃美歌を彷彿とさせる美しいコーラスで始まる“HEAVEN'S STATION”。

「これはコンセプトありきで生まれた曲で、タイトルの通り天国をイメージしています。天使の歌声や神様の声、汽車の音など、<これから物語が始まるんだ>という臨場感を込めました」

―途中で出てくる神様の声はAKIHIDEさんが担当しているんでしょうか?

「今回は僕ではなく、スタッフさんにお願いしました。僕が思い描く神様像にピッタリな声をしていたので(笑)」

―リードトラック“RAIN MAN”を経ての“LIGHTNING QUARTZ”。とても力強い楽曲ですね。

「これは四苦八苦でいう<病>を表現しています。タイトルにもなっているライトニングクォーツ(雷水晶)は落雷の衝撃を受けて出来た石で、雷の強力なエネルギーを記憶していてとても強いエネルギーを持っているそうです。さらに、その石を持つと持ち主が前向きになることができるよう促してくれる効果があるようで。そういうところにインスパイアされて作りました。雷に打たれたような辛い出来事があるからこそ明日も強く輝けるんじゃないかというメッセージを込めています。ブックレットのイラストには窓の外で雷が光っていたり、“RAIN MAN”と“LIGHTNING QUARTZ”の曲間にドラムのフロアタムが鳴ってるんですが、これは遠くで鳴っている雷を表現しています。そして曲の中盤からは疾走感を加えて、立ち上がる強さを表現しました」

―今回も細かい仕掛けが出てくるんですね。続く、“BLUE BIRD BALLAD”は哀愁と情緒感あふれるメロウなナンバーです。

「この主人公は夢を持って小さなバーで歌っているんですが拍手もまばらで誰も聴いてくれない。<夢なんか捨てちゃおう>と思いはじめている。初めて歌った時はきっと誰に聴かせる訳でもなく、ただ自分が好きなように歌えることが幸せだったはずなのに色々と欲が出て描く夢が大きくなればなるほど、手に入らないものが出てくる。そんな苦しみの情景を楽曲では表しています。そこにレインが降りてきて、苦しみから解放するために<初めて歌ったあの日のように君の歌を君の為に歌って>と歌うんです。そして主人公が諦めずに一生懸命歌い続けることでお客さんにも届き、温かい拍手をもらって次のステージへと歩みを進める。僕自身も、だんだんしがらみから解放されていく様子が伝わるようにギターを弾きました」

―爽やかなポップナンバー“YELLOW BOOTS”はライブでお客さんと一体となってシンガロングする絵が浮かびます。

「レコーディングの時、小学生の子供たちに参加してもらって、元気をもらった楽曲でもあるのでこれはみんなで盛り上がれたらいいなと思っています。でも……誰も歌ってくれなかったらどうしよう(笑)」

そんなことないですよ!!大丈夫です!!皆さん絶対に歌ってくれますよ。

「歌ってくれますかね? もし、歌ってくれなかったら永遠とコーラス部分ループしようかな。みんなが歌うまで次に行かないっていう(笑)」

―それはそれで新しいスタイルですね(笑)。続く“AMAOTO QUARTET”は走っているような軽快なアップテンポチューンですが、ブックレットには泣いている赤ちゃんとお母さんが描かれていますね。

「これは、苦しみのなかでも<生まれた苦しみ>を描いています。生まれたばかりの赤ちゃんは泣くことでしか自分の意思を伝える方法がないじゃないですか。お母さん自身もそれはよく分かっているけどなかなか上手くいかず、いっぱいいっぱいになってる。そんなお母さんにレインたちは<リラックスして>と励ますように音楽を奏で、赤ちゃんを泣き止ます手伝いをしてるんです。なので、全体的に明るく楽しい雰囲気になっていますね」

―続いて雰囲気がガラリと変わり緊迫感漂う“HUMAN MAZE”。これを聴いたとき1stアルバムに収録されている“涙の河”や"蜘蛛の糸"と雰囲気が似ているように感じました。

「へ~!そうですか!僕自身は意識しているわけではないですが、これは<怨憎会苦>がテーマで、仕事や学校など、様々な環境のなかで起こる人間関係に躓いている感じを表現したかったので< HUMAN MAZE(人間迷路) >とタイトルを付けました。もしかしたらそこで生まれた緊迫感が“涙の河”や“蜘蛛の糸”の世界観ともリンクしていったのかもしれません。そう考えると面白いですね」

―ブックレットのイラストでは迷子になっている人がカエルの姿をしていますが、これはなぜ?

「くだらない話なんですが、迷路なんで、最初いた場所や家に帰れないんですよ。この主人公は。だから<帰るに帰れない>でカエルなんです(笑)」

―なるほど!!ギャグ的な遊びが入ってるんですね(笑)。

「本当にくだらなくてすみません(笑)。わりと簡単な発想で思いついたものがブックレットのなかに入ってたりします」

―男女が喧嘩しているような台詞場面から始まる“BLUES & REE”。修羅場的な状況ですが、リズムの感じからポップさが全面出ていてめまぐるしく状況が変わっていく様は、まるで映画やドラマのワンシーンを観ているような気分になりました。

「この曲のフレーズ自体は10年くらい前からあって。その時からブルース・リーがカンフーしているようなチャイニーズメロディっぽいところがあって、そこからイメージを膨らませていきました。ブルースとリーという男女が喧嘩をしているんですが、この喧嘩は痴話喧嘩みたいなもので最初の語りでリーがブルースに<誰と電話してたの?>、<あなたもしかして浮気してるの!?>と問い詰めていますが、実は電話の相手というのが前曲“HUMAN MAZE”の男の人なんです。“HUMAN MAZE”の楽曲中に電話かけているんですが、そこで<助けてくれブルース>って言ってるんですよ」

―そこに繋がるんですね!

「そうなんです。だからブルースは友達からの電話を取っただけなのに、怒られてるっていう。ここでは些細なズレや執着を描いていて、ちょっと深呼吸して落ち着いたら人間関係は上手くいくよっていうメッセージを落とし込みました」

掲載: 2014年05月13日 12:00

ソース: 2014/5/10

TEXT:伊藤愛奈

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