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名花ルネ・フレミングの「今」を伝える3つのリリース

カテゴリ
o-cha-no-ma LONG REVIEW
公開
2012/07/26   16:52
ソース
intoxicate vol.98(2012年6月20日発行号)
テキスト
text:古川陽子(タワーレコード本社)

名花ルネ・フレミングのCDと映像が続いてリリースされましたのでご紹介します。まず去年のザルツブルク音楽祭でのティーレマンとウィーン・フィルとの共演によるライヴ映像から。この日のプログラムは前半にフレミングによる歌、そして後半に『アルプス交響曲』というオール・R.シュトラウスの夕べ。シュトラウスの濃厚なロマンティシズムが全面に出された「解き放たれて」から続く歌曲4曲からスタート。そして自身の当たり役でもある歌劇『アラベラ』からの《私のエルマー》がこの日の彼女の出番のハイライト。もし女優になったとしてもさぞやの名演技を見せてくれたのでは、と思わせる相変わらずの魅力的な表現力と舞台さばきをここでもたっぷりと見せてくれます。抑えた色合いのドレスのセンスも本当に素敵です。

続いては『Poeme-ポエム』と題されたラヴェル《シェエラザード》、メシアン 《ミのための歌》(アラン・ギルバート指揮フランス放送フィルハーモニー管弦楽団)、デュティーユ《ジャン・カスーの2つのソネット》《時の大時計》(小澤征爾指揮フランス国立管弦楽団)というフランス歌曲集。《シェエラザード》はこれが初録音ということですが、満を持してというべきでしょうか。彼女のますます色味を増したなめらかな歌声が映えます。それはメシアンでも同様で、ビロードのような質感のロマンティックな曲調とぴったりと合い素晴らしい。そして《時の大時計》は世界初演時のライヴ収録です。デュティーユの色彩感あふれる音がフレミングの歌声とオケが重なり合い天上から降るがごとく響く名演です。オペラでまさに第1線に立ち、またこのような新作でも稀有な演奏を聴かせられるとは、さすが現代を代表するプリマならではの貫禄ぶりですね。

そして『アート・オブ・フレミング』は彼女が今までにDECCAに収めた数多くの録音の中から選りすぐったスペシャルなベスト。シューベルトの 《アヴェ・マリア》から《私のお父さん》《歌に生き、愛に生き》のような超有名どころの名アリア、そして《サマータイム》でのかっこ良い歌いっぷり。プラシド・ドミンゴ、ブリン・ターフェルとのデュエットも収めているという、先の2アイテムとはまた別の味わいでゴージャスなフレミング・ワールドをお楽しみ下さい。

 

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