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【第16回】――オデッセイ

連載
ハマ・オカモトの自由時間
公開
2012/12/12   00:00
更新
2012/12/12   00:00
ソース
bounce 350号(2012年11月25日発行)
テキスト
構成/編集部


ハマ・オカモト先生が聴き倒しているソウル〜ファンクを自由に紹介する連載!



【今月の課題盤】ODYSSEY 『Odyssey』 Mowest(1972)

僕はモータウンが好きでいろいろ聴いていますが、ある日手に入れた『Our Lives Are Shaped By What We Love: Motown's Mowest Story 1971-1973』というコンピに衝撃を受けたんです。これはモータウン傘下の〈モーウェスト〉という、70年代前半に3年ほど活動していたレーベルのシングル曲をまとめたもので、GC・キャメロンやモータウン初のアジア系アーティストだったスージー・イケダなどが入っているんですが、これがすごくカッコイイ!——ということで、今回は同作にも収録されているオデッセイを紹介します。このグループはLAで組まれた黒人・白人の男女混合グループ。90年代には〈フリー・ソウル〉界隈でジャクソン・シスターズ並みに鉄板だったみたいです。でもモーウェストのなかでも重要なグループだったんだと、このコンピを通して知りました。というのも、まず収録曲のオデッセイ率が高く、タイトルにある〈Our Lives Are Shaped By What We Love〉は彼らの曲名を引用しているし、ジャケが72年の初作『Odyssey』のもろパクり(笑)。

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サウンドはソウルっていうよりカントリーみたい。他にもサンバっぽいものもあったりして相当気持ち悪いんですよ(笑)。何のグループなんだろう?みたいな。でも何がイイって、その音質なんです。音楽シーン全体として、圧倒的に音のクォリティーがこの70年代頭から変わってくるんですよね。機材の問題なのか、音質やミックス具合、ステレオ感とか——オデッセイを初めて聴いた時、歌は抜きとして、演奏がはっぴいえんどっぽいなと思って。要は雰囲気なんですけど、こういう感じの音っていまはなかなか出せないんですよ。あと、いま僕らはアルバムを作っていて、この時代の作品を聴き直したりしてるんですが、そこで気付いたのは圧倒的にベースの音がデカい。でも邪魔じゃないっていうか、自己主張してない。80年代に入るとシンセ・ベースが登場したりとか、時代を追うごとにベーシストの立ち位置みたいなのが変わっていくんですが、僕としては70年代ソウルにおけるベースはサウンド的に最高の状態だと思うんですよ。逆にそれより前の時代は音が曇っている感じだし。

これまで紹介してきた作品と比べたら〈入門編〉とは言えないものかもしれませんが、こういうのをひとつ知っておくといいのではないでしょうか?



▼コンピ『Our Lives Are Shaped By What We Love: Motown's Mowest Story 1971-1973』(Light In The Attic) 上の課題盤は現在廃盤ですが、こちらは手に入ります!

 

PROFILE/ハマ・オカモト



OKAMOTO'Sのヒゲメガネなベーシスト。最新シングル『ラブソング/共犯者』(ARIOLA JAPAN)が好評リリース中! また、黒猫チェルシーとの2マン・ツアーやイヴェント出演も続々と! 詳しくは〈www.okamotos.net〉へGo!