フォーマット |
書籍 |
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構成数 |
1 |
国内/輸入 |
国内 |
パッケージ仕様 |
- |
発売日 |
2017年05月13日 |
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規格品番 |
- |
レーベル |
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ISBN |
9784062586528 |
版型 |
四六 |
ページ数 |
368 |
ジャズは自由の母国としてのアメリカを象徴する音楽と理解されてきました。そして20世紀後半の国際政治を大きく規定した東西イデオロギー対立のなかでジャズには重要な位置が与えられたのです。アイゼンハワー政権下、米国務省はアメリカを代表するミュージシャンたちを「ジャズ大使」として世界各地に派遣。彼らは、アジア、アフリカ、南米や共産圏の各地で観客を熱狂の渦に巻きこみます。デューク・エリントン、ルイ・アームストロングやサラ・ヴォーンら多くのスターたちが参加したこの壮大な計画の目的は「アメリカ」を宣伝することにありました。
しかし、ジャズには同時に「アメリカ」批判、抵抗の音楽としての側面があります。人種隔離からみずからの解放と自由を求める人びとにとって、ジャズを演奏することはすなわち、抑圧的社会に抗議の意思を表明する象徴的行為でした。ジャズが重視する即興性は、譜面が求める規律に抵抗するものです。すなわちジャズにはこの二面性、つまり自由な自己表現を追求する側面と、抵抗の文化としての側面が内包されているのです。その抵抗の矛先がアメリカ自体に向かうとき、ジャズは反米の意思表明媒体となります。たとえば第二次世界大戦後のフランスがそうであったように。サルトルら実存主義の思想家は、思想を体現するものとしてジャズを捉え、アメリカ批判の論陣を張りながらジャズを積極的に受容しました。
さらにジャズは「連帯」をうながす媒体ともなります。アメリカから派遣される「ジャズ大使」たちは政府の思惑を超えてファンとのあいだに多様な共感を生んだし、共産圏に生きるミュージシャンやファンも国境横断的な連帯の輪を独自に広げました。今日のジャズに期待されているのも、異文化対話をうながし人びとのあいだのつながりを導く連帯の哲学です。
本書は国際政治史のなかでジャズが果たした特異な機能を考察し、ジャズが国際政治と共振しながら織りあげた歴史の実像に迫ります。
戦争、冷戦、デタント、平和運動、イデオロギー、民主化、脱植民地化、人種、異文化対話といった、アメリカ内外の政治的ダイナミズムが交錯するところにジャズはあり、それを問うことはジャズとアメリカとの関係を脱構築することになるでしょう。
構成数 | 1枚
序章 ホワイトハウスのデューク・エリントン
第一章 「アメリカの音楽」の生成
第二章 冷戦のはじまりとジャズ
第三章 「ジャズ大使」のアジア、中東、アフリカ訪問
第四章 脱植民地化と連帯
第五章 反米の手がかり?
第六章 赤いジャズ・シーン
第七章 鉄のカーテンを揺らして
第八章 取り戻されるべきもの、築かれるもの
終章 ジャズは「アメリカ」を超えていく
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