US屈指のリリシスト=Earl Sweatshirt(アール・スウェットシャツ)2018年他界した父に捧げる、3年ぶり3枚目となるソロ・アルバム『Some Rap Songs』
2013年に2ndアルバムとなる『I Don't Like Shit, I Don't Go Outside』をリリースした後は、しばらく音沙汰がなかったEarl Sweatshirtだが、今作はそんな沈黙を破る久々の新作だ。
今作は2018年7月に他界した父親Keoraptse Kgositsileの死をきっかけとして両親に捧げるオマージュ的内容となっており、アルバム13曲目に収録の「Playing Possum」にはその両親が共に客演参加している。その他にも「たとえ上手くいかない時だって 俺は神に感謝し祈るんだ これ以上お願い事はもうないよ」と父の死から乗り越えた自身の心情を歌う先行シングル「Nowhere2go」や、Navy Blueを迎えた「The Mint」、NYの注目グループ=Standing on theCornerを迎えた「Ontheway!」など全15曲を収録している。これまでも自身の両親について度々楽曲の中で歌ってきたEarl Sweatshirtだが、今作では改めて両親の存在と影響、感謝に加えて、子どもから大人へと成長を遂げた自身の"今"の姿を歌った注目の1作となっている。
発売・販売元 提供資料(2018/11/30)
さらなる内面の細道へ入り込んだ3年ぶりの新作(これを最後にコロムビア離脱を発表したばかり)。制作前に詩人の父親を亡くした影響もあってか全体の雰囲気はいつも以上に重苦しく、切れぎれの呟きと断片的なビートがマッドリブ風の情緒で織り重なるアブストラクトな15曲22分。父の朗読と母の語りが交わる"Playing Possum"、同じく2018年1月に逝去した叔父ヒュー・マセケラの"Riot!"を用いての物寂しい終幕が印象的だ。
bounce (C)出嶌孝次
タワーレコード(vol.422(2019年1月25日発行号)掲載)