世紀の天才か、はたまた大馬鹿者か?
大人気ラッパー、カニエ・ウェストの初めての和書が刊行。
――最高傑作『マイ・ビューティフル・ダーク・ツイステッド・ファンタジー』を徹底的に読み解く。

『マイ・ビューティフル・ダーク・ツイステッド・ファンタジー』とは?
さかのぼること2009年、MTVビデオミュージックアワード授賞式でのこと。人気歌手、テイラー・スウィフトの受賞スピーチを妨害し不評を買ったカニエ・ウェスト。当時の大統領バラク・オバマからは「馬鹿者」呼ばわりされるなど、全米中から非難を浴びて一時は抹消されたかに思われた。しかし人知れずハワイのスタジオにこもり、本書の題材となるアルバム『My Beautiful Dark Twisted Fantasy』を制作・完成させる。翌10年にリリースされた本作は、ラップファンのみならず、ロックやポップスのリスナーからも大絶賛される。ロック系メディアの大家「ローリングストーン」誌や「ピッチフォーク」でもこの年の〈年間ベストアルバム〉に選ばれ、カニエは名実ともにみごと復活を果たしたのだった。

近年のカニエはゴシップ記事の見出しをにぎわす"お騒がせセレブ"としても知られるが、音楽的才能はリスナー、同輩ミュージシャンともに多くが認めるところ。本書では、そのナルシシスティックで狂気に満ちた人物像と彼の生み出す作品をひも解く。
アルバムジャケット日本語版には、本書訳者にしてライターの池城美菜子(プリンスほか著名ミュージシャンの歌詞対訳・ライナーノーツ執筆多数)の解説を追加収録。