2008年にサン・ディエゴで結成されて以来、その超絶なハイパー・テクニックで、ジャズ/フュージョンをも取り込み、マス・ロックでありながらウェスト・コーストの爽やかさを感じさせてくれる、インストゥルメンタル・プログレ・ロック・アクト、CHON。今最もアツいインストゥルメンタル・バンドとして、マス・ロックやプログレッシヴ・ロックに新たな定義を持ち込んだ彼らが、待望のサード・アルバムをリリース!
Mario CamarenaとErick Hanselという二人のギタリストとMarioの兄弟であるドラマー、Nathan Camarenaというトリオ編成の彼ら。Nathanが作り出すうねるようなグルーヴと、その流麗な指捌きで常人では考えられないようなフレーズをクリアに披露するMarioとErickのギター・ワークで、Djent系からプログ・メタル、さらにはジャズ界隈からも大きな注目を集めている。2015年のデビュー・フル・アルバム『GROW』で、時代の先を行くマス・ロックと、世の楽器小僧たちの度肝を抜く激ハイバーなテクニックでシーンに衝撃を与えた彼らは、続く2017年の『HOMEY』で、ビルボード200アルバム・チャートの66位を記録。またCoheen and Cambria、Animals As Leaders、Circa Surviveといったバンドとツアーを行い、インストゥルメンタル・バンドとしては驚異的なSpotifyでの総再生数4千万回以上を叩きだしている。
今回リリースとなるセルフ・タイトルの最新作でCHONが目指すのは、これまでのエキセントリックな難解さに、幾分かの分かりやすさと抑制を取り入れることだった。「(今までのものより)ずっとシンプルな構成を取り入れつつも、自分たちの音楽性の最もクレイジーな部分ちゃんと曲を作りたかったんだ」そう説明するのは、Mario。「自分たちの曲はただでさえ難解だから、構成までも訳が分からないものにしたら、ついてくるのが大変になってしまう。このアルバムは、普段俺たちみたいなスタイルの音楽を聴かない人たちにもアピールできるものにしたかったんだ」(1/2)
発売・販売元 提供資料(2019/05/10)
確かに本作『CHON』で彼らは、フリーフォームで縦横無尽に広がっていく音楽性をやや控えめにし、今までより伝統的なロックの曲構成を取り入れているかも知れない。しかし、ここで重要なのは、音や構成をシンプルにしても、その結果は決してつまならいものでも、退屈なものでもないということだ。実際、ディープなプログレ的躍動感に突き動かされたリード・トラック「Petal」から、バンドの超絶ハイパー・テクニックとメタル的要素が炸裂する「Spike」まで、本作には、これまで同様、いやそれ以上に前衛的で、この上なく難解な試みが展開されている。つまり彼らは、これまでのファンを超絶テクで唸らせ続けながら、新たなファンにもとっつきやすいようにその音楽性の間口を広げるという超高度なスキルを身につけることに成功したのだ。
その新たなスキルを武器に彼らが挑むのは、より多くの観客が待つフェスティヴァルのステージ。ニュー・アルバムを大勢の前で演奏する準備も万事整っているようだ。「新曲をビックなフェスティヴァルで演奏することが分かっていたから、常にそれが頭の隅にあったんだ」Marioは「Gift」のとライバルなリズムについて説明しながら、そう語る。「(「Gift」を)作っているとき、ELECTRIC FORESTに出ることを考えていた。サイケデリックでハッピーな感じな曲だよ。これを大勢の観客の前で演奏したとき、どんな反応が返ってくるか楽しみなんだ」
"訳分からないけどカッコいい"、"難解なのにキャッチー"、"プログレなのに爽やか"・・・一見無理ゲーにも思える要素を飄々と自身の音楽性に取り入れ、超高度なテクニックでアウトプットしていくCHON。超絶ハイパーなバカテク集団が目指す次のステージから目を離せない!(2/2)
発売・販売元 提供資料(2019/05/10)
コーチェラをはじめとする数多くのフェスに出演して人気急上昇中の南カリフォルニア発インスト・バンドが満を持して日本デビュー。クリーン・トーンのギター2本とドラムスという編成でフュージョン~プログレ好きなのが丸わかりな超絶テクを披露しつつ、センティメンタルでネオ・ソウルな音楽は斬新で不思議な中毒性を持っている。例えるならフランク・ザッパ+ドゥルッティ・コラム+トム・ミッシュか?
bounce (C)赤瀧洋二
タワーレコード(vol.429(2019年7月25日発行号)掲載)