孤高ー。「レゲエ・リヴァイヴァル・ムーヴメント」最重要女性アーティストの新作『NOTE TO SELF』登場。さらに前進&多様化するレゲエの現在とさらに進化したJAH9の現在が提示された重要作・傑作。CHRONIXX / TARRUS RILEY / PRESSURE / AKALA参加。
JAH9。ジャマイカ出身。CHRONIXX / PROTOJE他と共に「レゲエ・リヴァイヴァル・ムーヴメント」を代表する最重要女性アーティスト。ジャマイカ&レゲエのルーツ&カルチャー、ラスタファリアンのドグマを基盤に多様化するレゲエの新たな可能性を世界へと更新中。その自由な歌唱スタイル、ワン&オンリーな表現とスタイルを武器に、現在の世界と対峙した一人の存在としての姿勢と思考と視点で聴く者に連帯と共有を促すメッセージで高い支持と人気と信頼を獲得中。アーティスト活動と並行したヨガ行者としての活動にも精力的。13年デビュー作『NEW NAME』、16年VP RECORDSから本格世界進出作『9』発表。
新作『NOTE TO SELF』は、収録曲9曲=9つの要素で「JAH9」を世界へと提示したコンセプチュアルな前作『9』以来となる約4年振りとなるオリジナル・フル・アルバム。
『9』発売以降に開始された初の本格的なツアー、各国の大型フェス出演も含むUS&EUを中心とした複数回の長期海外ツアーの経験で新たに得たインスピレーションをもとに制作・発売されてきたシングル曲、18年発売「Feel Good」「Love has Found I」「Field Trip」「Heaven」、19年発売「Ma'at」、20年発売「Highly」をベースにツアー活動と並行して制作されてきた全15曲。
セルフ・プロデュースだった『9』とは異なり、CLIVE HUNTを中心にSEAN PAUL他作品で知られるJEREMY HARDINGがプロデュース参加。重鎮達に加えてCHRONIXX / KOFFEE他作品で知られるTEFLON、アーティストとしても活躍するRUNKUS他新進プロデューサーも参加、自身のプロデュース曲も含めて『9』以降のシングルで提示してきたルーツ・ロック、DUBに、ジャズ、ディスコ、ファンクを消化させた新たなるスタイルと表現をさらに拡大。CHRONIXX / TARRUS RILEY / PRESSURE BUSSPIPE(PRESSUREと同一人物)/ UK拠点のAKALAと迎えたゲストも『9』以上に多彩。
そのストイックでシリアスな啓蒙的&ポジティヴなメッセージはそのままに、さらにリリカルに深みと広がりを持ち、そのスピリチュアルでミステリアスなイメージはそのままに、さらにチャーミングでユニークな一面も加わり、『9』から現在までの成長と変化、音楽に限らず世界がさらにボーダーレス、ダイヴァーシティ化するのに対応・共進したレゲエの現在と、JAH9の現在が提示された意欲作。17年CHRONIXX『CHRONOLOGY』、18年PROTOJE『A MATTER OF TIME』とレゲエを前進・時代を推し進めた傑作と同様に、本作もレゲエの現在と新たなる可能性に満ちた重要作・傑作。
発売・販売元 提供資料(2020/03/02)
ドープ&神秘的すぎて良くも悪くも近寄りがたい雰囲気だったセルフ・プロデュースによる世界進出盤から4年、あのラスタ女子がまさかここまで開けた新作を放つとは!コフィ仕事で名を上げたテフロンや重鎮クライヴ・ハントら外部の手を借りることで、ファンクやジャジー・ダブなど曲調の幅も広がり、主役のヴァーサタイル性がわかりやすく表面化。とりわけ嬉しい驚きは、クロニクスやプレッシャー客演曲で聴ける柔らかな歌唱でしょう。ポエトリーと歌、裏声と地声を自由に行き来するスキルフルなマイク・パフォーマンスに、激情だけじゃなくちょっとした心の揺れも描き出す豊かな表現力が加わり、聴き手のハートを掴んで離しません。早くも2020年のNo.1レゲエ作品と出会ってしまった気が……。最高です。
bounce (C)山西絵美
タワーレコード(vol.437(2020年3月25日発行号)掲載)