アウグスト・クルークハルトは、ケーテンで生まれ、10歳からピアノと作曲を学び始めます。15歳の頃に家族とともにデッサウに移住。やがてピアニストとしてデビューを飾りました。作曲活動も進めており、20歳になる前には自作を発表するなど順風満帆な音楽家人生をスタートさせました。指揮者としても才能を発揮、ワーグナーの「指環」を上演するほどの活躍ぶりを見せた人です。リストとも交友があり、いわゆるワーグナー派とも目されていますが、作品はシューマンに近いスタイルのもの。クルークハルト51歳の時に書いた木管五重奏曲は、交響曲やオペラも書く作曲者であったことも影響しているようで、各楽器にまんべんなく役割が与えられており、細かい動きと牧歌的なメロディの対比が印象的な作品です。

ジョルジュ・オンスロウは、同時代にすでに「フランスのベートーヴェン」として知られていました。若きオンスロウは20年間ヨーロッパを渡り歩き、ハンブルクでヤン・ラディスラフ・ドゥシークに、ロンドンでヨハン・バプティスト・クラーマーに、最後はフランスに戻り、パリでアントニ・レイハに教育を受けました。この豊かで変化に富んだ体験がオンスロウの独特のスタイルを生み、ベルリオーズへと受け継がれています。彼のその類稀な才能は特におびただしい数の室内楽に顕著に表れています。サロンで演奏される名手のための協奏曲としての役割を果たしていた木管五重奏曲は、パリの上流社会の人々の趣向を充分満足させるものでした。

ベートーヴェンの親しい友人として、また優れたヴァイオリニストとして現在その名を知られているルイ・シュポア。しかし、実は彼は当時、ベートーヴェンを凌ぐほどの"交響曲作家"であり、とりわけ後期の作品はシューマンに影響を与えるなど優れた作風の作品を残しています。この五重奏曲もドイツ・ロマン派の流れをくんでおり、モーツァルトやベートーヴェンのピアノと管楽のための五重奏曲を指標としていますが、ピアノと管楽器群との掛け合い、半音階的な和音を多用したロマンティックさが、日差しあふれる風景と哀愁を醸し出しています。

現代最高峰の室内楽アンサンブルとしての実力を存分に示している「レ・ヴァン・フランセ」。一人ひとりの奏でる音色の豊かさはもちろん、アンサンブルの精緻さ、そしてドリームチームとしての存在感も驚嘆すべきもので、このアルバムでも各奏者間のやり取りから生まれる丁々発止の対話が、音楽に生き生きとした魅力が増していきます。更にそのどれもが、最高のセンスと色香と息遣いに満ち溢れています。
ワーナーミュージック・ジャパン

発売・販売元 提供資料 （2020/04/10）

Les Vents Francais have undertaken a good deal of neglected wind chamber music, and theyre a crack ensemble with crisp coordination even in technically fairly difficult pieces like the ones here. Two of these works, one German and one French, qualify as neglected gems. Consider the Wind Quintet, Op. 79, by the almost totally forgotten August Klughardt (1847-1902), perhaps the last composer to earn a living as a court musician. He was a devotee of Wagner and Liszt, conducting the operas of the former, but continued to write in classical forms. The result in the Wind Quintet, Op. 79, is a curious hybrid, a piece of wind chamber music with unexpected dramatic qualities. Sample the finale, with its seemingly innocuous Adagio - Allegro molto vivace tempo marking. Rather than a typical slow introduction, Klughardt introduces the Allegro in stages, as if he were writing an operatic scene that gains energy. Its a wholly novel effect. Equally good is the Wind Quintet, Op. 81, of the only slightly better known George Onslow, with dense, symphonic wind writing and a really gorgeous slow movement. The model for much 19th century wind music was Louis Spohr, who closes the program with the Quintet for piano and winds, Op. 52; its not on the level of the other two pieces, but its a satisfying conclusion with a nice balance in the unusual piano-wind effects from pianist Eric Le Sage. This may seem a recording of obscurities, but it is one of the best possible kind.

Rovi