フォーマット |
CD |
---|---|
構成数 |
1 |
国内/輸入 |
輸入 |
パッケージ仕様 |
- |
発売日 |
2021年03月26日 |
---|---|
規格品番 |
SC396CD |
レーベル |
|
SKU |
656605039626 |
ボルチモア出身でLAをベースに活動するアーティスト、serpentwithfeetは、ニュー・アルバム『DEACON』を3月26日にSecretly Canadianよりリリースする。これは2018年度、最も評価されたアルバムの一つで、serpentのデビュー作となる『soil』に続く作品となる。完全に自己実現し、これまで以上に個人的な達成に専念した『DEACON』により、serpentはソングライターとしての成長を際立たせ、表現に対してより直接的なアプローチをとるようになった。ポップ・ソングライター達と時を過ごし、彼らが如何に言葉を横断しているかを観察することによって、彼は歌詞でより冒険するようになり、結果、より純粋さを生むこととなったのだ。自らの音楽を通し、serpentは最も愛する自己と交わることによって、慈悲が彼のアートのバックボーンになることを可能にした。
serpentwithfeetことJosiah Wiseは、ボルチモア出身でロサンジェルスをベースに活動するエクスペリメンタルR&B・アーティストだ。2016年にThe Haxan Cloak のプロダクションをフィーチャーしたEP『Blisters』をTri Angleよりリリースし注目を浴びる。2018年にはPaul Epworthとの共同プロデュースによるデビュー・アルバム『soil』をリリース。The New York Times、The New Yorker、Billboard、Pitchfork、NPR Music、The Ringer他、数々のメディアから絶賛された。また、Ty Dolla $ign、Ellie Goulding、Bjork、Virgil Abloh他、数々のアーティストともコラボレート。2018年のフジロックフェスティバルにも出演している。
構成数 | 1枚
合計収録時間 | 00:29:05
-
1.[CD]
-
1.Hyacinth
-
2.Same Size Shoe
-
3.Malik
-
4.Amir
-
5.Dawn
-
6.Sailors' Superstition
-
7.Heart Storm (Feat. NAO)
-
8.Wood Boy
-
9.Derrick's Beard
-
10.Old & Fine
-
11.Fellowship
-
-
〈声の力〉で恍惚へと導くR&B作品
クラムス・カジノらが関与した初アルバム『Soil』(2018年)はクィアである彼のセクシャリティーも含めて静かな話題を呼んだが、タイ・ダラー・サインの2020年作『Featuring Ty Dolla $ign』に自身の名を冠したインタールードが収録されたことは過去最大の名誉かもしれない。NYからLAに移住した後にタイ・ダラーを迎えて放った2019年のシングル"Receipts"への返礼も兼ねて、折り重なる神秘的なコーラスで彼の歌世界を広めたのだ。ジャンルレスで異端な音楽性を強調したがるメディアに対して「R&Bシンガーだ」と言い切る彼はブランディの大ファンで、歌唱においても〈ヴォーカル・バイブル〉と呼ばれるブランディの唱法からの影響が感じられる。
官能と抑制に美を求めるような世界観を共有するサンファやリル・シルヴァとのコラボ"Fellowship"を先行曲としたセカンド・アルバム『Deacon』でもそれは同様。クィアとしての自身に誇りを持ちつつ、教会出身者としてのルーツを音楽に昇華させている。音数を最小限に絞ったミニマルで静謐なスロウを中心とした、グレゴリオ聖歌にも通じる楽曲における彼の歌声は前作以上にサラウンド感が強調され、深みのある地声とスウィートな裏声を自在に行き来するヴォーカル・コントロールの巧さも際立つ。トラップやハウス的なビートをベースにした曲もあるが、ネイオのキュート・ヴォイスと交わりながら荘厳なムードを醸す"Heart Strom"も含めて、恍惚へと導くのはあくまでも彼の声の力。〈助祭〉と銘打つだけのことはある。
bounce (C)林剛タワーレコード (vol.448(2021年3月25日発行号)掲載)
-
人としても表現者としても成熟した姿
LAを拠点に活動するボルティモア出身のサーペントウィズフィートことジョサイア・ワイズは、人という生き物が持つ相反した感情を表現できる素晴らしいアーティストだ。R&Bが軸となる多彩な音楽性はポジティヴとネガティヴの両面を違和感なく映し出し、ワイズの歌声は聖と俗を奔放に行き来する。多大な影響を受けたゴスペル的な歌い回しで神々しい光を放ったかと思えば、肉欲が滲む妖しいヴォーカルでリスナーの激情を掻き立てる。
ゲイの黒人男性としての視点が漂う歌詞も筆者の心をとらえて離さない。はっきりと政治/社会性を打ち出してはいないが、マイノリティーな側面を複数抱える者の視座が色濃い言葉は、世界はさまざまな社会と人々で形成された多様な場所であると教えてくれる。
これらの魅力は今回のニュー・アルバム『Deacon』でも楽しめるが、本作は従来の作品と比べて異なる面も目立つ。穏やかな情感が濃厚で、ロマンスの熱さと優しさが歌われる"Same Size Shoe"や"Wood Boy"など、愛をテーマにした曲が多い。それを反映するように、ひとつひとつの音は角のない柔らかな質感を備え、リスナーの耳に心地良く馴染んでいく。音に含まれる成分はR&Bの栄養素が多くを占めつつ、広がりのある立体的音像はアンビエントやポスト・ロックの観点でも聴ける。
『Deacon』は、人としても表現者としても成熟したワイズの姿が鮮烈だ。
bounce (C)近藤真弥タワーレコード (vol.448(2021年3月25日発行号)掲載)
欲しい物リストに追加
コレクションに追加