ポップとヴァイクルという当時最高峰の歌手を得て成し遂げた名演を世界初SACD化!テンシュテットの手綱により、緻密ながらも奥深いマーラーの世界を描いた、屈指の名演のひとつ!デジタル録音のSACD化企画第4弾!新規解説、歌詞対訳付
ポップとヴァイクルを起用した隠れた名盤!当時人気の二人を起用して1985年と翌年に収録された当盤は、テンシュテットの金字塔である一連のマーラーの録音の中では比較的地味な印象があるかも知れませんが、内容的には従来の"角笛"の概念をより多層的に描いた演奏として、今でこそ評価されるべき遺産です。自主的で自在な歌い手に対してテンシュテットが導くマーラー観はより深く、内容的にも納得させられる名演!今回の発売のために、本国のデジタルマスターから新規でSACD化を行いました。SACD層、CD層別々にマスタリング。新規解説、歌詞対訳付。
1977年よりロンドン・フィルと進めていたセッション録音によるマーラーの交響曲全集の最後の収録となる第8番(1986年4月録音。オルガンのみ同年10月録音)の直前にあたる1985年2月と、翌年3月に録音されたのが当盤でした。収録は2回にかけて行われ、どの曲が何年に行われたのかのデータは不詳ながら、エンジニアも曲によって分かれています(1,5,8,9曲はChristopher Parker、それ以外はMichael Sheady)。この曲でもテンシュテットによるマーラー解釈は一貫性を持っており、随所でテンションの高さを感じさせますが、当時でも交響曲ほどは録音が多くなかった角笛においても、はっきりとした独自性を打ち出しているのは見事です。テキストの解釈含めポップとヴァイクルの自主性を重んじながらも、ところどころ立ち止まりながら深く曲を咀嚼するのはテンシュテットならではであり、このアルバムこそ、彼のまた深い一面が良く出ているのではないでしょうか。尚、ポップはこの録音のすぐ後、1987年10月に今度はバーンスタインとDGにこの曲を収録しているのは興味深い点です。もちろんレーベルや指揮者等含め曲以外は異なるので当たり前ではありますが、ニュアンスはかなり違っています。当時、マーラーの演奏において世界で最も注目されていた二人の指揮者との相次ぐ共演は'70年代のルートヴィヒやコロの大地の歌を思い出しますが、ポップにおいては各盤の両面が良く出ているのではないでしょうか。ぜひ聴き比べをおすすめします(尚、バーンスタイン盤ではここに収録されていない「原光」が追加)。ヴァイクルも後にインバルと収録を行っており、当時この曲を得意としていたことが伺えます。表現力が見事であり声質の良さも含めると当時ベストの盤であったことを証明していると言える出来です。今回のデジタル録音の最新復刻では、声楽と親和性の高いSACD化により、質感が向上し細部にも耳が届くようになりました。マーラーの神髄のひとつが示されていると言って良い名曲を、従来を超える音質でお楽しみください。
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タワーレコード(2024/10/11)
このシリーズでは、デジタル初期の本来のマスターの音質に大きく左右されますがSACD層では伸びのある高域と柔らかなニュアンスと共に解像度の改善を、CD層はまとまったしっかりとした音と共に押し出される実在感ある音色を目指しています。CD自体のポテンシャルも高く、むしろ両方の良さを堪能できるSACDハイブリッド盤としてもお楽しみください。尚、解説書には國土 潤一氏による新規文章を掲載しました。今回のDefinition Series DIGITAL era第4弾は、計3タイトルを発売いたします。
<音源復刻コンセプト>
今回のデジタル初期音源復刻では、個々の音質差以上に音場間の向上や音離れが良くなり、解像度も高まりました。また、程度の差こそあれステージが従来より近く感じられ緊密感も増しています。SACD層に限らずCD層でも最新マスタリングを反映させていますので、その効果を確認できると思います。音質差は元の録音状態によることや、最も成功したアナログ録音の最新復刻時のような劇的な変化とまでは言えないものの、従来の復刻に勝るとも劣らない音質を獲得できることを確信し、本格的に企画を進行して行くことにした次第です。レコード史的にもひとつの最盛期にあたる1980年代初期から約20年間分のデジタル録音期にスポットを当てたSACD化新規企画として、新シリーズ名は「Definition Series DIGITAL era」としました。尚、従来通り過去に発売された音源と極力比較する検証も行なった上で、音楽を最大限に生かすべく、オリジナルのアナログ・マスターテープを尊重した上での最適なマスタリングを心がけています。
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タワーレコード(2024/10/11)