2004年の鉄仮面がライムセイヤーズに残した傑作に20周年記念盤が登場。同年にはマッドヴィランやヴィクター・ヴォーン名義作、MFグリムとのタッグ作なども続いたことで好事家には名高いこの当時の彼だが、マッドリブやカウント・ベースD、モールメンのPNSも交えつつ自作のビートを軸に食べ物系のメタファーを凝らした内容はいつ聴いても独特だ。新装アートワークにも注目。
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vol.493(2024年12月25日発行号)掲載(2024/12/25)
ユーモア、ウィット、社会批評がシームレスにブレンドされ、リスナーを食べ物にまつわるメタファーの奇妙な世界へと導くことで賞賛されたMFドゥームの2004年の名作『MM..フード』。現代のブーム・バップやローファイに多大なる影響を与えた名盤が、20周年を記念して、サム・ロドリゲスによる新しいアートワークとともに完全リパッケージ。
確かに、MF DOOMの膨大なカタログが私たちを取り巻く世界について語ることはよくある。しかし、DOOMが彼の仲間、先人、子孫の多くと異なるのは、ほとんどのラッパーはありのままの世界について語るのに対し、DOOMの作品は、彼自身が創造した世界によって占められているという事実である。2004年、MF DOOMは『MM...FOOD』という大作を発表し、私たちを奇妙な退廃の世界へと導いた。『MM...FOOD』は、食べ物にまつわるメタファーで構成され、DOOMが悪徳、セックス、暴力、嫉妬にまみれた人生を辛辣にコメディタッチで描いている。これは、DOOMがアルバムのテーマを探求する余地を十分に与えてくれるという、見事で斬新な仕掛けを持った作品だ。リリースから20年経った今、『MM...FOOD』がそれ自体で象徴的な存在になったことは容易に理解できる。DOOM自身がそうであったように、このアルバムはヒップホップの定番として愛されてきた。このアルバムのラフでルーズなプロダクション・スタイルが現代のブーム・バップやローファイに与えた影響から、彼の芸術性とペンがMCたちに大胆で新しい創造の可能性を開いたことまで、DOOMの作品は今日の私たちの音楽を形成し続けている。
発売・販売元 提供資料(2024/10/29)
ユーモア、ウィット、社会批評がシームレスにブレンドされ、リスナーを食べ物にまつわるメタファーの奇妙な世界へと導くことで賞賛されたMFドゥームの2004年の名作『MM..フード』。現代のブーム・バップやローファイに多大なる影響を与えた名盤が、20周年を記念して、サム・ロドリゲスによる新しいアートワークとともに完全リパッケージ。 (C)RS
JMD(2024/10/22)