ポリス結成前のスチュワート、アンディー、スティング――オトコの履歴書
スチュワート
CIAに在籍していた父親の仕事のために、1952年にエジプトで生まれてレバノンで育った。そんな経歴をもつスチュワート・コープランドだが、音楽界入りしたのは兄マイルスからの影響が大きい。のちにレーベル、IRSを興し、REMなどを送り出すマイルスは、70年代初頭にウィッシュボーン・アッシュ、アル・スチュワート、ジョーン・アーマトレイディングなどを手掛けるマネージメント会社を設立、ルネッサンスらが所属したレコード会社、BTMも興した。スチュワートも当初は、兄の会社でアーマトレーディングのマネージャーを務めていた。そのBTMに所属するグループにはカーヴド・エアもあり、彼らが再結成ライヴをおこなうとき、マイルスの推薦によってスチュワートがドラマーとして加入、アルバムでは『Midnight Wire』(75年)と『Airbone』(76年)に参加、後者では曲作りにも積極的に関わっている。95年に出たカーヴド・エア『Live at the BBC』ではコープランドがふたたびドラムを叩いている曲も収録されている。
アンディー
ポリス結成以前の3人のなかで、なんといってもキャリアが豊富だったのはアンディー・サマーズだ。残る2人よりもひと世代上といえる1942年生まれで、64年にはすでにズート・マネーズ・ビッグ・ロール・バンドに参加。そのダイナミックな演奏の様子は『Fully Clothed & Naked』に残されている。その後は、3か月ほどソフト・マシーンに参加したこともあったが、ロサンゼルスに拠点を移したエリック・バードンの〈NEW〉アニマルズに正式加入、グループ最後のアルバムとなった『Love Is』に収められている“Ring Of Fire”で聴けるサイケなギターがおもしろい。バードン&アニマルズは当時、来日も果たした。しかし、ゴタゴタでアニマルズが解散すると、大学でクラシック・ギターを学んだのち、イギリスに戻ることに。セッション・ミュージシャンとして、ケヴィン・エアーズはもとより、デヴィッド・エセックス、ニール・セダカなどのバックを務めながら、彼は運命の出会いへの道を歩んでいた。
スティング
1951年に、イギリスはニューキャッスルで生まれたスティング。72年ごろ、中学教師を務める傍ら、ニューキャッスル・ビッグ・バンドにベーシストとして参加、この大編成グループは自主制作でアルバムも残している。そして74年には友人3人とともにラスト・イグジットを結成、こちらのグループも“Whispering Voices”というシングルを残した。スティングはヴォーカルとベースを担当していて、このころにすでにポリスのいくつかの曲の原型が出来上がっていたと言われている。フランス人ギタリスト、アンリ・パドヴァーニを擁して(オリジナルの)ポリスを結成した77年ごろ、ゴングにいたマイク・ハウレットによるプロジェクト、ストロンチウム90に、スチュワートとともに参加。同プロジェクトにはアンディーが参加しており、3人が出会うきっかけとなる。97年になってリリースされたストロンチウム90『Police Academy』で、その音源を聴くことができる。なかでも興味深いのは、スティングが突発的に録音した、弾き語りによる“Every Little Thing She Does Is Magic”が収録されていること。この閃きは素晴らしい。
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