海外アーティストの愛しき日本語ソング
冷静な判断が成されたとは思えぬズッコケ日本語ソングの数々。なかでも捨て鉢度No.1はポリスの遺恨盤“De Do Do Do, De Da Da Da”。レア・トラックながらCDボックス・セットにも収められていない不名誉な扱いを受けている。60年代からヒット曲を日本語で吹き込む欧米の歌手は、コニー・フランシスを筆頭に数多く存在した。そんなノリはロックの時代に入っても点在し続けたが、ポリスなんかがやるとなるとわけが違ったのだ。ただ汚点として消去するにはインパクトが強すぎ! 日本語をフレーズとして入れる際のセンスでミュージシャンの格が知れる。ボーイ・ジョージが〈セーンソーハンターイ(戦争反対)〉と唱えたとき、彼の希求も目の前でぽとりと落ちた。つまり日本語の語感についてどれだけ意識が働いているかが重要ということ。そんなこと言いながらも食あたりしそうな日本語版を秘かに待望しているわが心。近ごろでいえば、ボビー・コンの“Seiko Shinai”が泣けた。もはやボーナス・トラックと呼べない、本編も食ってしまうほどのメタンガス的一発。
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