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映像作品でさらに際立つ、ポリスの素晴らしさ

ポリスほどのスーパー・バンドともなれば、当然のように、コンサート会場はスタジアム級。とはいえ、当時、俗に〈スタジアム・ロック〉と称されていたバンド――たとえば、ジャーニーやフォリナーなどの産業ロック系――とは、あきらかに違って、大掛かりなステージ・セットや、大観衆が大合唱を始めるような仰々しい楽曲は、ポリスにはなかった。でありながらも、何万人もの観衆を心酔させたのは、卓越したプレイ・テクニックに裏付けられた圧倒的なバンド・グルーヴが彼らにあったからだろう。観衆をやたら煽ろうとする意図を孕んだ楽曲がなくとも、彼らの演奏は十分にエモーショナルなものだったのだ。そんな光景を確認するうえで、ライヴ映像作品は見逃すわけにはいかない。

まずは、このたびDVD化された「Live Ghost In The Machine」。82年夏、ニューキャッスルでおこなわれた野外コンサートを収めた本作は、スティングの生まれ故郷でのステージということもあって、かなり気合いの入った演奏が楽しめる。“Can't Stand Losing You”~“Reggatta De Blanc”~“Be My Girl-Sally”のメドレーは最高だ。

83年の全米ツアーにおける、アトランタでの模様を収めたのが「Synchronicity Concert」。そのステージングにはさらに磨きがかかり、1曲目の“Synchronicity I”からマジ震えが止まらない。そして、なんといっても、ゴドレイ&クレームによるカメラ・ワークが素晴らしい。これは、フツーのライヴ・ドキュメントとは一線を画す出来だ。

ゴドレイ&クレームといえば、『Synchronicity』からカットされた全シングルのプロモ・クリップを手掛けた映像ディレクション・チーム。彼らの才能はMTV全盛のなかで華々しく開花し、ほかにもピーター・ガブリエルやトーキング・ヘッズをはじめ、斬新な映像で視聴者を楽しませてくれた。モノクロのコントラストが印象的な“Every Breath You Take”、通常よりハイ・テンポで演奏、撮影したものをスロウで編集、幻想的な画を演出した“Wrapped Around Your Finger”など、それらの映像は「Every Breath You Take : The Videos」で楽しむことができる。

カテゴリ : ピープルツリー

掲載: 2001年11月22日 18:00

更新: 2003年03月07日 18:39

ソース: 『bounce』 226号(2001/10/25)

文/久保田 泰平

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