BRING THE NOISE !! PEが変えたロック・ミュージックとヒップホップの関係性
パブリック・エナミーが「黒人のものだったロックンロールはエルヴィスに搾取された」とか言いながらも、“Bring The Noise”をアンスラックスと共演したのは、より幅広いリスナーに興味を持たせるための戦略だったそうだ。が、それは時代の要請でもあったはず。ここでは“Bring The Noise”以降の両ジャンルの関係性を見ていこう。
93年にロック×ヒップホップのミクスチャーとして話題になった『Judgement Night』はラッパー×バンドという〈ロック・リスナーへのヒップホップの紹介盤〉だったのだが、90年代半ばには本格的にヒップホップが〈売れる音楽〉になっていき、2000年にはロック・ヴォーカル×ヒップホップ・トラック合体曲を集めたコンピ『Loud Rocks』と、立場が逆転した企画も生まれるようになった。その間にはライヴなどでの両ジャンル併演も普通のこととなり、コーン×アイス・キューブ、トミー・リー×スヌープ・ドッグなどの音盤共演も生まれている。そして現在、音楽性自体がそもそもヒップホップとのミクスチャーであるリンプ・ビズキットやリンキン・パークに象徴的なように、ジャンルの横断は珍しくもない。日本でもラッパ我リヤやZEEBRA、宇頭巻らが入り乱れた『MAD MAXX』のような動きは多くなってきた。こうした相互乗り入れが盛んな現況に寄与した最大の存在が(ランDMCとエアロスミスの先例もあるとはいえ)パブリック・エナミーだというのは間違いないだろう。最近はエミネム×ジョー・ペリーなんてのもあったけど、もうそれさえも大きなトピックたりえないのは当然なのだ。