耳で聴いたピープル・トゥリー
パブリック・エナミーが与えた計り知れない影響は、ここに一本のトゥリーを生んだ
ANTHRAX
『Mad House : Very Best Of Anthrax』Island
〈スラッシュ・メタル四天王〉のひとつ、アンスラックス。メタル界において、彼らが着用していた短パンとPEのTシャツはやはり異端でした。メタル・キッズに〈ラップなるもの〉を教育した“I'm The Man”、PEとの共演による“Bring The Noise”なんて、いま聴いても新鮮。(大石)
N.W.A.
『Straight Outta Compton 』Priority/1988
NYは〈ストリートの現状を描いた高度なラップ〉で、LAは〈ギャングスタの下等なラップ〉という偏見が日本でも根強いのはPEとNWAのせい? でも、両者の描画法が裏表一体だったことも、いまならわかるはず。ドレーはボム・スクワッドの手法を早くもここで採り入れ、この後オリジナルになった。(出嶌)
K-DUB SHINE
『現在時刻』cutting edge/1997
キングギドラで聴かせるコンビネーションもいいけど、より個の視点にフォーカスしたロウな言葉で現状を突き刺すあのK-DUBに出会えるのはやはりソロのほうでしょ。その重々しい説得力たるや、もしかしたらチャックD以上かも知れませんし。関係ないけど、フレイヴに「いま何時?」って聴いてほしいなあ。(出嶌)
P.I.L.
『Second Edition』Virgin/1980
いつもパブリックの敵へと銃口を向けてきたPE、そして自身のパブリック・イメージと格闘してきたジョン・ライドン。PEの闘いは継続中ながら、パブリックとの距離が生まれつつあるライドン氏の闘いは……。でも、今作をリリースしたときの彼は紛れもない闘士であり、リアル・パンクスだったのだ。(大石)
PRINCE
Rave Un2 The Joy Fantastic NPG/Arista/1999
プリンスとチャックDとの、なんとも驚くべき共演“Undisputed”が本作で実現。レコード会社との長きに渡る確執とか表現の変化への葛藤、社会への複雑な思い、ウェブサイト運営に関する先見の明……と両者には(実は)共通項が多い。作品を出すたびに口うるさいファン(オレ)を抱えてるところもな。(出嶌)
- 前の記事: PUBLIC ENEMY #1 体制と闘い続けたミュージシャンたち
- 次の記事: 耳で聴いたピープル・トゥリー(2)