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カテゴリ : スペシャル

掲載: 2011年03月09日 17:59

更新: 2011年03月09日 18:37

ソース: bounce 329号 (2011年2月25日発行)

文/入江亮平

 

グローファイから生まれた淡く儚いディストピア

 

90年代オルタナ~ローファイのリヴァイヴァル的な側面も担いながら、どこか白けたこの時代からひたすら逃避することに重点を置き、圧倒的に虚無なサイケデリアでやり過ごして眠りにつく——グローファイやチルウェイヴはどこへも連れて行ってくれない。そんな流れから新たに派生した、甘い蜜欲しさに蜂巣にすがる、現実を拒んだ少年たちが描いたディストピアを〈ウィッチ・ハウス〉と呼ぶらしい。

自主レーベルのトライ・アングルを立ち上げ、自身の活動名義であるバラム・アカブとoOoOO(オー)で発表したたった2枚のシングルで、現代におけるサイケデリック・カルチャーの主役の座を射止めたのは、若干19歳のNYの大学生、アレック・クーン。彼のレーベルからリリースされたハウ・トゥ・ドレス・ウェルやセーラム、その他記号で埋め尽くされたウィッチ・ハウス系のアーティストたちは、〈ホラー〉〈ゴシック〉といったムードを纏い、深淵な方向へ彷徨しながら、アンビエントとドローンの関係のように、グローファイ/チルウェイヴとウィッチ・ハウスの類似/相違を炙り出そうとしている。

そして、バラム・アカブの作った『See Birds』というミニ・アルバムにその答えの糸口を見つけ出せるような、出せないような……。“Big Boy”はまるで暗闇のなかにスローモーションで打ち上がる花火のような美しさを携え、“Dream Out”や“See Birds (Sun)”は祭りの翌朝のように寂しく響き、“See Birds(Moon)”はジェイムズ・ブレイクやマウント・キンビーら英国のポスト・ダブステップとずっぽし共振。〈踊らないで、ここではないどこかへ〉を若者たちは必死にめざしているのだ。

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