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カテゴリ : スペシャル

掲載: 2011年03月09日 17:59

更新: 2011年03月09日 18:37

ソース: bounce 329号 (2011年2月25日発行)

インタヴュー・文/佐藤一道

 

これがもともと俺が思い描いていたバンドの姿だ

 

 

シューゲイザーのようでシューゲイザーじゃない(コクトー・ツインズのリミックスを手掛けたけど)、ポスト・ロックのようでポスト・ロックじゃない(ステレオラブと同じレーベルだったけど)、エレクトロニカのようでエレクトロニカじゃない(エイフェックス・ツインとも仲良しだけど)、それは何かと尋ねたら?……そう、ロンドン出身の4人組、シーフィールだ。

92年にデビューし、90年代に独自の抽象性を持つ3枚のアルバムをリリースしながら、ひっそりとフェイドアウトしてしまったかのように思われた彼らが、一昨年行われたUKの老舗テクノ・レーベル、ワープの20周年記念イヴェント〈Warp20〉への出演をきっかけに、約15年ぶりに復活。このたびそのワープからリリースされたニュー・アルバム『Seefeel』は、バンドの中心人物であるマーク・クリフォード(ギター)も「これがもともと俺が思い描いていたバンドの姿」と太鼓判を押すように、彼ららしいアブストラクトさを保ちながらも、かつてないほどに生々しいライヴ感を喚起させるサウンドに仕上がっている。この変化は、新たに加入したリズム隊、E-DA(元BOREDOMS)とシゲル・イシハラ(DJ Scotch Egg)という2人の日本人に拠るところが大きいのだと言う。

「2人とも俺と同じブライトンに住んでいるんだ。E-DAとは数年前に知り合って、遊びでジャムったり、レコーディングしたりするようになった。シゲルとは彼を通して知り合ったんだけど、リハーサルをしてみて〈素晴らしい〉って思ったから参加してもらうことにしたんだ」(マーク:以下同)。

この2人の放つダビーな力強いパルスからは近年のダブステップの姿が想起される(特に先行EPとなった“Faults”)。けれども、シーフィール自身、もともと結成時よりダブからインスピレーションを受けていたバンドだ。

「(ダブの影響は)ずっとあった。特にファースト・アルバムでは大きく影響を受けている。いまでもよく聴いているし、そこから派生したダブステップも聴くよ。ただ、〈ダブの曲を作ろう〉と意識しているわけではないけどね。たぶんヘヴィーなベースと、スペースを残した曲の構成がそう感じさせるんじゃないかな」。

さらに、90年代の作品でも特徴的だった、マークの奏でる濃霧のようなギター・サウンドとサラ・ピーコックの幻想的なヴォーカリゼーションが宙を舞う様は、シューゲイザーという言葉に留まらず、昨今のチルウェイヴ/グローファイと呼ばれるアクト特有の輪郭をボカす音作りともシンクロするものだ。そして、本作ではギターとヴォーカルが描く〈抽象〉とリズム隊の描く〈具象〉とが拮抗し、摩擦し合うことで独自の緊張感、いわば〈熱〉のようなものが生まれている。

「これまででいちばんライヴ・バンドとしての要素が強いと感じているんだ。即興の要素を入れられるし、より自由なスペースを残せるからね」と語るマークの言葉から、今年4月初めに開催される〈SonarSound Tokyo〉での来日パフォーマンスにも期待が高まるところ。〈いま〉の空気と絶妙にシンクロしながらも、最終的にはどのジャンルにも属さない不思議な個性を持つそのサウンドを、見て(SEE)感じ(FEEL)よう。

 

▼シーフィールのアルバムを紹介。

左から、93年作『Quique』(Too Pure)、95年作『Succour』(Warp)

 

▼関連盤を紹介。

左から、BOREDOMSの94年作『Chocolate Synthesizer』(ワーナー)、DJ Scotch Eggの2007年作『Scotchhausen』(Very Friendry)

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